安倍晋三首相は2018年5月14日、韓国財界人の表敬訪問を受けた際、「アンニョンハシムニカ(こんにちは)、みなさんこんにちは。安倍晋三です」と韓国語を交えながらあいさつし、日韓の経済関係がさらに緊密になることに期待を寄せた。
安倍首相はこれまでも、韓国との首脳会談で、毎年のように韓国語を交えてきた。だが、そのたびに韓国メディアは「下手な韓国語」「演出」と、散々な評価だ。今回はどうだったのか。
「下手な韓国語」「『韓国語の挨拶』というそれなりの誠意」
安倍氏の韓国語が最初にクローズアップされたのは、2014年3月に米国のオバマ大統領(当時)が仲介する形で、安倍氏と朴槿恵(パク・クネ)大統領(当時)がオランダ・ハーグで初めて正式会談に臨んだ際だ。安倍氏は
「パククネ テトンニョンニムル、マンナソ パンガプスムニダ」(朴槿恵大統領、おめにかかれてうれしいです)
と話しかけたが、朴氏は安倍氏をちらりと見ただけで会話が続くことはなく、日本国内では「無礼だ」といった批判が相次いだ。
この直前の13年12月には安倍氏が靖国神社を参拝し、14年2月には菅義偉官房長官が、慰安婦問題をめぐる1993年の「河野談話」の作成経緯を検証する意向を表明したこともあって、日韓関係は冷え込んでいた。安倍氏が韓国語を使ったのは、少しでも関係改善を試みようとしたためだとみられるが、韓国メディアは、これを皮肉交じりに報じた。聯合ニュースは、「下手な韓国語」の見出しつきで、
「安倍首相は、『韓国語の挨拶』というそれなりの誠意を示し、関係改善の意欲を見せた」
と解説。ニュースサイト「マネートゥデイ」も、「下手な韓国語」という表現を使いながら、
「過去の問題で冷え込んだ両国関係を改善しようという努力の一環とみられる」
とした。2015年11月にソウルで行われた日中韓首脳会議の共同記者発表でも、安倍氏は
「アンニョンハシムニカ、皆さんこんにちは」
とスピーチを始め、
「カムサハムニダ、ありがとうございました」
と締めくくった。やはり韓国メディアは「韓国語で話す姿を演出することもした」(マネートゥデイ)と、皮肉交じりだった。