安倍晋三首相が衆院の予算委員会中、トイレへ行くため離席しようとすると、「えーっ」と不満げな声があがった。
こうした様子はNHKの国会中継でも放送され、ツイッターでは「首相も大変だな」「かわいそう」と、ちょっとした話題になった。
3分弱、離席
2018年5月14日の衆院・予算委員会は朝8時30分に始まった。それから約2時間後、5人目として、玉木雄一郎議員(国民民主党・無所属クラブ)が質問に立ち、加計学園問題などを追及した。
玉木氏の質問が始まってから約30分が経ち、加計学園の話から、公文書管理に関するテーマに移る際、「ちょっとトイレに...」と安倍首相らしき小さな声が聞こえた。玉木氏が、少し首をかしげながら「あ、トイレ...」と繰り返すのとほぼ同じタイミングで、「えーっ」と不満げな大きな声も聞こえた。
玉木氏は「ちょっと(質問時間計測を)止めてください」と要求。その後、安倍首相が席を離れる場面が映り、河村建夫委員長は「速記を止めてください」と、中断を指示した。それから3分弱が過ぎ、首相が席に戻り、玉木氏の質問が再開された。
委員会の様子は衆院公式サイトでネット中継をしており、この日はNHKも地上波中継。「トイレ」のくだりは、さっそくツイッターで話題となり、声の主は不明ながらも「えーっ」という声は野党議員による批判だけと受け止め、
「トイレに行くだけで非難されるとは、首相も大変だな」
「首相はトイレにさえも行けないのか」
「トイレで批判って。もういじめだよ、首相がかわいそう」
といった反応が相次いで寄せられた。中には、映像に映っていた、河村委員長席に近寄る野党議員らの姿について、「首相のトイレ行きに抗議」と解釈し、「ひどい」と野党批判を展開する人もいた。
「トイレに行かせる時間を与えないのは前代未聞ではないかと...」
一方、首相がトイレに行く直前まで、加計学園問題で追及を受けていたことから、
「(首相が)逃げた」
「トイレで打ち合わせをしているんじゃない?」
と受け止める声もあった。
衆院事務局に対し、J-CASTニュース編集部が14日、委員会中の首相や各大臣らのトイレ離席の例について質問すると、
「答弁のタイミングを見ながら、委員長に声をかけてトイレ離席することは、珍しいことではありません」
とのことだった。
安倍首相と野党議員との「委員会中のトイレ」をめぐる攻防は過去にもあった。2016年2月19日の産経新聞記事(ネット版)などによると、同日あった衆院予算委員会の途中でトイレに行こうとした首相に対し、野党議員が「行ってもいいけど(質問時間計測の)時計を止めてください」と委員長に求め、首相はいったん離席を思いとどまった。その後、質問が一区切りしたタイミングでトイレへ行き、戻ってきたあとの答弁で、野党側の指摘で出てきた「(軽減税率は)前代未聞」との言葉を使って、「トイレに行かせる時間を与えないのは前代未聞ではないかと...」と皮肉を展開した。この安倍首相の答弁部分の動画は、現在(18年5月14日)でもYouTubeで確認できる。