「出場することは工事中の橋を渡るようなもの」
初土俵から横綱昇進直後の17年春場所まで、休場経験はわずか1日のみ。けがの少ないことで知られた稀勢の里だが、17年春場所で左上腕を損傷して以来、相次ぐけがに悩まされている。
17年夏場所(5月)...左大胸筋損傷、左足関節靭帯損傷、左上腕損傷
17年名古屋場所(7月)...左足首損傷
17年九州場所(11月)...腰部挫傷、左足前距腓靭帯損傷
18年初場所(1月)...左前胸部打撲
初日から出場した場所でも、上記のようなけがで途中休場。直近に出場した18年初場所で途中休場した後、「次は覚悟を決めてと思っている」と次場所で進退をかけることを明言した。
こうして休場を繰り返す稀勢の里にとって、夏場所の出場はかなりリスクを伴う――。そう語ったのは、NHKの相撲実況でおなじみ刈屋富士雄・解説委員だ。
11日放送の「おはよう日本」(NHK総合)に出演した際、「(夏場所に)出場することは工事中の橋を渡るようなもの」と解説。その上で、
「この1年、4回、工事中の橋を渡ろうとして途中で落ちているんです。途中休場しているんです。今回が最後の橋とみられていますので、もし今回途中で落ちるようなことになれば、進退が問われると思います」
と話した。仮に夏場所も途中休場した場合には、進退を問われることになりかねないという。
刈屋氏はさらに「横綱審議委員の方や解説者の方、親方衆から今場所は休んで稽古を積んでからの方がいいのでないかとの声が相次いでいます」と、周囲の意見も紹介。実際、横綱審議委員会の北村正任委員長は先場所後「できるという気持ちになった時に出てきてほしい」と寛容なコメントを残していた。