内閣府のサイトの「国政モニター」に、韓国や在日外国人に対する過激な投稿が掲載されていることが問題視され、騒動になったのに引き続き、長野県の「県民ホットライン」でも、同様の問題が指摘された。
長野県の担当者は、J-CASTニュースの取材に対して、「公開されている内容が県の意見とイコールではないが、出来るだけ原文をそのまま出すようにしている」と、問題点を認めつつも、県民ホットラインのスタンスについて説明した。
「ならず者」「寄生虫」と罵倒が並ぶ意見も掲載
長野県は2006年から県民の投書を募集し始め、2012年からは「県民ホットライン」と名を改め、現在に至るまで県民の暮らしに関わることから県政まで幅広い意見への回答が掲載されている。
その中でヘイトスピーチではないか、と問題視されているのが、「強請・集りを生業とするならず者たち」「日本国に寄生する寄生虫」と在日外国人を表現する投書だ。
ガイドライン上は「特定個人や団体などに対する誹謗中傷、個人間の争いに関するもの」は意見として省く、とあるものの実際にヘイトスピーチと指摘されるものが掲載されているとして、2018年5月6日ごろから、県の姿勢を問う声がツイッターでは相次いだ。
「ヘイトスピーチにあたらないとは思っていない」
県民ホットラインでの過激な意見の掲載について、県の担当者は、8日のJ-CASTニュースの取材に対し、
「掲載されている意見が県の意見とイコールではない。問題視されていることは7日の早くから認識しており、今後の対応を検討中」
と答えた。
担当者によると、県民ホットラインは、寄せられた意見を尊重して全て回答し、掲載する際は文面には手を加えないことが原則であるという。実際に、上記の質問についても、県健康福祉部長の名義で、
「日本と韓国との関係は必ずしも良好な状態ではありませんが、地方と地方、人と人とが交流を深め、信頼関係を構築していくことが、両国の将来にとって大切なことであると考えますので、今後とも交流を進めてまいりたいと考えております」
など、10に渡る問いの一つひとつに答えを返している。
また投書には重複する内容も多く、韓国関連では、平昌五輪での韓国への協力を辞めるよう求める意見も複数投稿されているが、それらに対してもその都度回答を掲載し、理解を求めている。
担当者は問題視された投稿に関しても、
「県として容認しているわけではない」
「ヘイトスピーチに当たらないとは思っていない」
としつつ、表現の自由との兼ね合いや前述の基本方針から、極端な意見のみを除くというやり方が出来なかったと説明した。
こうした方針は県民ホットラインが始まった2012年からのものだが、当時とは状況が大きく変わり、ヘイトスピーチに対する目が厳しくなっていることから、今後は何らかの対策が必要なことを認めた。
取材直後、問題の文章消える
取材後、8日午後17時までに指摘されていた項目は非表示となり、
「この御意見につきましては、人権上不適切な表現が含まれているとの指摘がありましたので、内容を確認し、後日改めて掲載させていただきます」
という文章が掲載されている。
なお、騒動の発端となった内閣府の「国政モニター」は5月1日、J-CASTニュースの取材に対し、ネット上での批判を「確認中」として具体的な問題の有無には回答を控え、その後、事業の休止を理由にすべての投稿を非公開にする措置を取っている。
サイト上には、
「国政モニター制度は平成28年度をもちまして休止しております」
とのメッセージのみが掲載されている状態だ。