生徒の健康情報を装着型端末で管理 広島叡智学園「齟齬があった」と謝罪

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   2019年4月に広島県豊田郡で開校予定の全寮制中高一貫校「県立広島叡智学園」が18年5月2日、「メディアとのミスコミュニケーションにより、ご心配をお掛けした方々に対し、お詫びを申し上げます」と謝罪した。

   同学園をめぐっては、健康管理を支援する目的で全生徒に生体データを取得できる「装着型端末」を購入させるなどとする報道が一部であり、インターネット上では疑問視する声が広がっていた。

  • 県立広島叡智学園の公式サイトより
    県立広島叡智学園の公式サイトより
  • 県立広島叡智学園の公式サイトより

ネット「『安心』という名の『牢獄』」

   中国新聞は4月30日、「叡智学園、生徒の健康管理に端末」と題した記事を配信した。

   記事では、同学園が(1)生徒全員にウエアラブル端末を身に着けてもらう(2)心拍数のデータを生徒たちがいつでも確認できるようにする(3)情報の一部は教職員や保護者がインターネット上で確かめられる仕組みを取り入れる――などと紹介。広島県教育委員会の決定事項として伝えた。

   記事公開後、SNS上では、

「自分の健康状況が可視化できるのは嬉しい」

などと好意的な声が寄せられる一方、

「1日中監視されているようで、嫌な感じ」
「『安心』という名の『牢獄』」

といった批判も少なくなく、賛否交えた議論となった。

県教委「現在検討中」

   報道を受けて県教育委は5月2日、「4月30日(月)付け中国新聞記事(生徒全員に装着型端末)について」と題した声明をホームページに掲載。

   「(ウエアラブル端末の)導入の適否も含めて現在検討中」と前置きしたうえで、(1)希望者のみ購入してもらう(2)生体データは学校側が強制的に取得することは無い、と釈明。

   その上で、

「メディアとのミスコミュニケーションにより、ご心配をお掛けした方々に対し、お詫びを申し上げます」

と謝罪した。

   県教育委で、この端末などを担当する「学びの変革推進課」は5月7日、J-CASTニュースの取材でも「検討段階」であることを強調する。

ミスコミュニケーションとは?

「ICT(情報通信技術)のシステム構築に向け、現在業者から提案を受けています。その中で色々なデバイスを使える状況にしておきたく環境整備を依頼しています。装着型端末はそれらデバイスの中の1つの選択肢として挙がっています」

   また、第三者によるデータ取得もシステム上は可能なものの、現時点で運用は考えていないという。

「健康面での相談が生徒からカウンセラーや担任にあれば、生徒から同意を得た上でデータを閲覧する可能性はあります。ですが、基本的には生徒自身によるデータ活用を想定しています」

   一方、中国新聞の報道部担当者はJ-CASTニュースの取材に、「ミスコミュニケーション」の内情を、

「(記事配信後に)学びの変革推進課の担当者は、本紙記者に『全員がつけてもらうものだと思っていた。ぼくも(県教委の学校経営支援課から)聞いて、そうでないと知った』と話しました」

と説明。「担当者の発言を正確に記事化した」としている。メディアとのミスコミュニケーションでなく、県教委内部の問題だったようだ。

   なお、同紙は続報にあたる「『過剰管理』SNSで批判 県教委『強制しない』」を5月3日に配信した。

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