米国での轍を踏むのか
かつてのスズキは違った。スズキは早くも1984年に中国へ進出し、90年代には小型車のアルトで大成功を収めた。当時の中国人の所得水準では、ボディがより大きなセダンを所有できる人は中国ではほとんどおらず、例えばトヨタのカローラなどのモデルの自動車は高級車、もしくはぜいたく品と見なされていた。
しかし、この十数年で中国の一般家庭の所得水準は急速に上がり、自動車を購入する際に、人々が主に検討するのは外観が大きくて立派かどうか、レイアウトが豊富かどうか、馬力が大きいかどうかといった点に移った。それにもかかわらず、スズキはこの長い間ずっと、「周りが変わろうとも己は変わらず」という姿勢を保ったため、中国にボディの大きなモデルを投入することはなかった。
スズキの小型車は、日本やインド、さらには全世界で売り上げが好調だが、その一方で中国や北米の市場では苦戦している。なぜなら、これら二つの地域ではボディの大きなモデルが人気だからだ。
もちろん、「スズキが自社製品のモデルを堅持することは戦略的に正しく、自らが熟知している分野で商品の質を極めて、外界の様々な変化に振り回されないという精神は称賛に値する」とスズキを擁護する人は少なくない。しかし、グローバル化の時代にあって、様々な市場に狙いを定めて様々な対策を考え、様々な商品を開発し、固定観念にとらわれないという理念こそ、より現実に即しており、より将来性のある企業理念だと思われる。
スズキはすでに2012年、米国での自動車販売からすでに撤退している(現在販売しているのはオートバイだけ)。スズキは中国でアメリカでの轍を踏まないのか。中国では注目が集まっている。
(在北京ジャーナリスト 陳言)