シャープ公式も「尊敬してる」 カゴメ「神対応」生んだ創業者以来の企業理念

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   大手食品メーカーの「カゴメ」は不採用にした新卒応募者に、自社商品を贈っている―。

   とある就活生がツイッターで明かした、カゴメの「おもてなし」の内容が15万件を超える「いいね」がつく反響を呼んでいる。J-CAST編集部は2018年5月1日、投稿者とカゴメの広報担当者に取材した。

  • カゴメから届いた商品とメッセージ(画像は投稿者提供)
    カゴメから届いた商品とメッセージ(画像は投稿者提供)
  • メッセージ付きの特別仕様のダンボール(画像は投稿者提供)
    メッセージ付きの特別仕様のダンボール(画像は投稿者提供)
  • カゴメから届いた商品とメッセージ(画像は投稿者提供)
  • メッセージ付きの特別仕様のダンボール(画像は投稿者提供)

「何万通もESが来る大企業が、このおもてなし」

「カゴメが落ちた人に自社製品送ってくれるって、都市伝説じゃなかったんだ...何万通もESが来る大企業が、このおもてなし。嫌いになれるわけないよね。むしろもっと好きになった。サイレント企業見てるか?見習え?」

   現在就職活動中の大学生の、ツイッターアカウント名「Sara」さんは、カゴメにエントリーシート(ES)を提出するも、残念ながら不採用だった。しかし、そのカゴメから同社の製品「カゴメトマトジュース 高リコピントマト使用」1本(265グラム)と「ガリトマチキン」1箱が入ったダンボールが届いた。

   同封されていたメッセージには

「この度はカゴメ株式会社にご応募いただきありがとうございました。就職先として興味を持っていただきましたこと、想いをこめてエントリーシート・履歴書を作成いただきましたことにこころから感謝いたします。カゴメからのささやかなお礼として、弊社の商品を用意しました。今後ともカゴメ株式会社をよろしくお願いいたします」

と書かれていた。

   4月28日、Saraさんがこの出来事をツイートすると、大きな反響を呼んだ。リプライ(返信)欄には、カゴメを称賛する声が多数見られる。

「本当素晴らしい!粋ですね、KAGOMEさん」
「カゴメのアフターケアすごいな」
「こんな気配りができる企業がまだあったのですね」
「落ちた会社に対してのモヤモヤがなくなりファンになってしまう」
「就職お祈りメールじゃなくて、お祈りカゴメとか、どんだけカゴメ神対応なにやねんと」

   企業アカウントながら、自社製品とは関係ない「ゆる~い」ツイートがおなじみの大手電機メーカー「シャープ」の公式ツイッターもこれに反応し、カゴメを称えている。

「カゴメさんはこの就活お祈り対応もそうですが、製品ファンのコミュニティや株主さんへの向きあい方がほんとうに素晴らしくて尊敬してる」

カゴメ「感謝の思いを具現化したものです」

   5月1日、カゴメの広報担当者に話を聞くと、こうしたお礼は10年以上も前からあることがわかった。ではなぜ行っているのか。その理由は以下のように話している。

「弊社の企業理念の一つに、『感謝』(編注・自然の恵みと多くの人々との出会いへの感謝)というものがあります。エントリーしてくださった方への贈りものは、この感謝の思いを具現化したものです。エントリーシートというのは非常に大変なステップだと考えています。企業について調べ、自分の思いを書く、学生のみなさんはこれを何社もやっています。あまたある企業の中から弊社を選んでくださり、この大変な作業を行ってくれた応募者の方に感謝の思いを伝えるため、弊社の商品を贈っています。また、就職活動期間というのは一時的なもので、それ以降もお客様(編注:応募者)とカゴメとの縁は続いていくものだと考えております」

   「感謝」はカゴメ創業者の故・蟹江一太郎が大切にした言葉で、3つの企業理念の中では筆頭に挙げられている。公式サイトにもその揮毫による「感謝」の2文字が、画像で掲載されるなど、カゴメにとっては重要なキーワードだ。

   同社は選考結果に関係なく、新卒採用でESを提出した応募者全員に同じものを贈っている。書類選考の次のステップとして企業説明会があり、書類選考を通過した人にはそこで手渡しているが、書類選考で不採用となった人とは直接会う機会がないため、郵送している。その際には特別仕様のダンボールを使用し、上記で紹介した商品とメッセージを同封しているという。ダンボールには、「ささやかでは御座いますが、ご家族、ご友人、大切な方と一緒にお楽しみください」とのメッセージが書かれている。

   今回、同社のこうした行いがツイッター上で称賛されていることに関しては、

「弊社を志望してくれた皆様に、少しでも感謝の気持ちが伝わったということであればうれしいです」

と喜んでいた。

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