東京都の小池百合子知事が、また「迷言」だ。2018年10月にオープンする予定の豊洲市場(江東区)の観光拠点「千客万来施設」の着工のメドが経っておらず、小池氏は5月1日、事業者の「万葉倶楽部」(神奈川県小田原市)を訪れ、直談判を試みた。
当初は副知事が訪問予定で、小池氏の訪問は「サプライズ」だった。小池氏いわく、その理由は「亡くなった父が、直接行って話ししてこいと言っているように思えた」。小池氏は過去にも、自らの意思決定について「AI」と答弁して波紋を広げたことがある。
亡き父の選挙を手伝ったのは...
市場移転問題をめぐっては、小池氏は17年6月、市場を豊洲に移転しつつ築地を再開発し「食のテーマパーク機能を持つ一大拠点に」する方針を発表。この「一大拠点」には競りなどの市場機能を残すと説明してきた。築地に機能が残るとすれば豊洲への集客に影響する可能性があり、「万葉倶楽部」側が反発して着工を先送りしていた。
18年5月1日、小池氏はサプライズ訪問の理由を問われ、
「今日、仏壇に手を合わせましたところ、亡くなった父が、直接行って話ししてこいと言っているように思えましたので...」
と答えた。小池氏の父親・勇二郎氏は石油の貿易商で、過去には衆院選に出馬したこともある。その選挙を手伝ったのが、後に副知事として豊洲移転に関わった浜渦武生氏らだった。小池氏がこういった点に思いをはせたかは不明だが、今回の発言がさらに事態を悪化させる可能性もありそうだ。
「それはAIだからです」に次ぐ「迷言」か
小池氏は「万葉倶楽部」に対して「誤解を招いたと陳謝した」と説明しているが、「万葉倶楽部」は謝罪を受けたとは受け止めておらず、両者の溝は埋まらないままだ。都民ファーストの会に所属していた音喜多駿都議は、ブログで
「これはいくらなんでもあまりに関係者すべてを馬鹿にした発言ではないでしょうか。そんな思いつきで突然、当事者にすら直前まで知らせずに突然訪問してきた知事が何を言ったところで、誠意ある『謝罪』だと受け取られるはずがありません」
と指摘した。
豊洲移転と築地再開発を両立させる方針をめぐっては、財源や運営費などを検討した記録が都に残っていないことが情報公開請求で明らかになったとして、「最終判断が知事と顧問団による密室で下された」などと17年8月の会見で問題化。この問題に対する小池氏の答弁が「意味不明」だと波紋を広げた。
会見では、小池氏は、文書が存在しない理由を「それはAIだからです」と説明。様々な判断材料が集まってくることを踏まえた上で、
「最後の決めはどうかというと、人工知能だ。人工知能というのは、つまり政策決定者である私が決めたということ。回想録に残すことはできると思っているが、その最後の決定ということについては、文章としては残していない。『政策判断』という、一言で言えばそういうことだ」
などと説明していた。