南北首脳会談を受け、韓国での北朝鮮に対する信頼感が「爆上げ」だ。
世論調査会社「リアルメーター」が、首脳会談が行われた2018年4月27日、非核化や朝鮮半島の平和定着に対する北朝鮮の意思について聞いたところ、「信頼する」が64.7%に達した。過去の北朝鮮について「信頼する」と答えたのはわずか14.7%だ。会談を通じて、韓国国民の半数以上が北朝鮮への評価を肯定的に変えたことになる。別の調査では、北朝鮮が「非核化の意志がある」という回答が8割に迫っている。ただ、会談後の共同宣言では「非核化」の具体的内容が明らかになっておらず、あいまいなままだ。期待感が先行しているとも言えそうだ。
過半数が「以前は信頼していなかったが、今は信頼している」
リアルメーターの調査は韓国内の成人男女500人を対象に行われ、4月30日に結果が公表された。北朝鮮の意思を「信頼する」という声64.7%に対して、「信頼しない」は28.3%。「分からない」は7.0%だった。過去の北朝鮮については「信頼する」14.7%、「信頼しない」78.3%だった。現在と過去の認識で大きな隔たりがあることが分かる。
両者を比較した形で聞くと、最も多かったのが「以前は信頼していなかったが、今は信頼している」の52.1%。次に多かったのが「以前は信頼しておらず、今も信頼していない」が26.2%。「前も信頼しており、今でも信頼している」は12.6%、「前は信頼したが、今では信頼しないようになった」は、2.1%だった。
60代以上でも「信頼する」激増
世代別に見ても、すべての層で「信頼する」の割合が大きく伸びた。最も大きく伸びたのが30代で、11.6%から70.3%と58.7ポイント増加。北朝鮮に対する警戒感が強いとされる60代以上も、17.2%から58.8%に、41.6ポイントも伸びた。
リアルメーターは、一連の結果を
「南北首脳会談を通じて朝鮮半島の非核化・平和構築のためのメッセージが国民の大多数の注目を集めた」
と分析している。
韓国社会世論研究所(KSOI)が4月28~29日、全国の成人1018人を対象に行った世論調査でも、近い結果が出た。北朝鮮が「非核化の意志がある」との声は78.9%に達し、「非核化の意志がない」は19.3%。首脳会談が「朝鮮半島の非核化に成果があった」との声は85.9%で、「成果がなかった」は11.3%にとどまった。
首脳会談後に発表された「板門店宣言」では、
「完全な非核化を通じて、核のない朝鮮半島を実現するという共同の目標」
という文言が盛り込まれたが、現時点では、この「完全な非核化」と、日米韓が求める「完全かつ検証可能で不可逆的な方式の非核化(CVID)」が同じものかは明らかではない。こういった点をどの程度詰められるかが、6月初旬にも行われる米朝首脳会談の焦点のひとつだ。