韓国・釜山の日本総領事館前の慰安婦像の横に「徴用工像」を設置しようとの問題は、警察当局が設置阻止に成功しつつあるようだ。
像設置を目指している「積弊清算・社会大改革釜山運動本部」を名乗る市民団体は、メーデーの2018年5月1日に設置するとしていた。だが、韓国メディアによると、同日朝、警察は団体メンバーを強制的に排除。にらみ合いが続いているものの、市民団体側が設置予定地を奪還するのは不可能だとみられる。
メーデーの5月1日に設置を宣言していた
徴用工像の設置をめぐっては、韓国外務省や釜山市が、外交問題を理由に設置に反対する一方で、領事館前の道路を管轄する同市東区庁の朴三碩(パク・サムソク)区庁長は、世論の反発を背景に
「市民団体が領事館の前に徴用工像を設置しても物理的に撤去することはないだろう」
と発言。5月1日に向けた動向が注目されていた。
団体側は4月30日夜から総領事館前に陣取っていた。5月1日に徴用工像を設置場所に移動しようとしたところ、警察は総領事館周辺の100メートル以内では集会が禁じられていることを理由に、像と団体メンバーとを強制的に引き離した。この際一時もみ合いになり、約10人が負傷したという。警察は総領事館付近の歩道を封鎖し、団体メンバーが接近できない状態になっている。
4000人規模の集会に警官3000人を動員
聯合ニュースによると、総領事館付近で団体側は4000人規模の集会を開いたのに対して、警察は3000人を動員して警備。徴用工像は、集会が終わった17時時点では総領事館の隣のビルにあり、動かさない方針を示しているという。
総領事館前の慰安婦像は16年末に設置。日本政府は、これが15年末の慰安婦をめぐるに日韓合意に反するとして、長嶺安政駐韓大使らを約3か月間、一時帰国させていた。文在寅(ムン・ジェイン)大統領は日中韓首脳会談のため5月9日に来日を控えている。北朝鮮への対応で日韓中の連携が求められる中、韓国政府としては、これ以上外交上の懸案が増えることを抑え込む狙いがあるとみられる。