千葉市内で行われた「ニコニコ超会議」で2018年4月28日、与野党8党の幹部による憲法についての討論会が開かれた。一部では早期解散説も出るなか、野党の出席者からは「解散は首相の専権事項」だとされている根拠の「7条解散」のありかたをめぐる異論が相ついだ。
自民党の船田元・憲法改正推進本部長代行も「一定の歯止めは必要」と、野党側の姿勢に一部同調。解散権を制限する立法について党内で検討する考えを示した。自民党が取りまとめたばかりの改憲4項目についても「金科玉条ではない」と、終始防戦気味だった。
英国では解散権制限する法律が成立
7条解散とは、憲法7条に基づいて内閣の助言と承認により、天皇の国事行為として行われる衆院解散のことを指す。立憲民主党の枝野幸男代表は、
「行政権が議会の解散権を一方的に持つというのは、王権、行政権が王様の属していた時代の歴史的な名残でしかない」
「急いで日本国憲法を変える必要があるとすれば、この7条解散を禁止する。これが最も優先順位が高い、議論すべき項目だというのは、私たちは明確に示している」
などと主張。希望の党の玉木雄一郎代表ら、日本維新の会以外の野党も、枝野氏と同様に解散権を制限すべきだとした。
一方の船田氏は、
「その時の内閣が、やっぱり国民の意見を聞かなきゃいけない、こういうときが少なからずあると思うので、それを実行するための措置としては当然認められることであると思っている」
と語った。一方で、英国では、解散には下院議員の定数の3分の2以上の賛成が必要だと定めた「議会任期固定法」が11年に施行されたことを挙げて、
「そういうことを考えると、我が国でも『いつでもやれんるんだ』、そういう状況にはやっぱり一定の歯止めは必要だろうと思っているので、検討したいと思う」
と発言。野党側に同調した。
自衛隊を憲法9条に明記する案に異論続出
船田氏は討論会後、報道陣に対して、解散権を制約するとすれば法律で定めるべきだとして、
「法律で決めるとしても、どこまで制約するのか、どこでチェックするのか、今後党内で議論したい」
と話した。
討論会では、自衛隊を憲法9条に明記するなど4項目が骨子の自民改正案に対する異論が続出し、船田氏は、4項目は「金科玉条ではない」とも述べた。安倍晋三首相は17年の憲法記念日(5月3日)に、改憲憲法の2020年施行を目指すことを表明し、後に「スケジュールにはこだわらない」と軌道修正している。文書改ざんやセクハラなど多数の問題で国会が空転する中、改憲に向けたスケジュールは見通せない状態だ。
「もちろん我々、真剣に自民党の中で議論したわけだが、しかしこれは金科玉条ではない。自民党が決めたからと言って、それがそのまま憲法改正につながるわけではない。多くの皆さん、政党の皆さんと議論をかわしながら、ある意味で、これは『たたき台』。このたたき台をどんどん叩いていただいて、そして成案を得る。そのために私たちは、政治生命をかけて頑張っていきたい」