愛媛県今治市にある松山刑務所の施設から脱走し、22日間にわたって逃走を続けていた平尾龍磨容疑者(27)が確保されたのは、JR広島駅付近の路上だった。重点的な捜査が行われていた「向島」(むかいしま、尾道市)からは、直線距離で約70キロ離れている。
本州には「海を泳いで渡った」。共同通信などの報道によれば、平尾容疑者は警察の調べにこう話をしているという。
「本州側に渡ることは難しくない」?
各メディアの報道によれば、平尾容疑者は2018年4月30日午前、広島市南区の路上で発見され、逃走容疑で緊急逮捕された。JR広島駅近くのネットカフェ店員が「似ている人がいる」と通報したことで、確保に至ったという。
平尾容疑者が脱走したのは8日。警察は30日までに述べ1万5000人以上を動員し、潜伏していると見られた向島を中心に捜索を行ってきた。島外へと続く道路やフェリー乗り場では24時間体制の検問が行われていたほか、ヘリやドローンも使い上空からの捜索を続けていた。
だが、平尾容疑者はすでに向島を離れていた。海を泳いで島から本州へ渡っていたというのだ。
確かに、向島と本州の間にある尾道水道は、最も短い場所で200メートル弱の距離しかない。実際、NHKの26日時点の報道では、地元の男性住民(68)の話として、
「自分も泳いだことがありますが、潮止まりの時であれば泳いで本州側に渡ることは難しくなく、すでに島から泳いで逃げたのではないかとも思います」
というコメントを紹介していた。
ただ、尾道水道は潮の流れが早く、泳ぐのは危険だという意見も。J-CASTニュースが30日午後に尾道水道沿いにある旅館の女性担当者に話を聞くと、
「地元の漁師の間でも、潮の流れが早いと有名な場所です。私も昔から、泳ぐのは危ないと教えられてきました。(平尾容疑者が)泳いで本州に渡ったと聞き、かなり驚いています」
と話していた。
向島の防犯カメラに映った後か?
なお、読売新聞(ウェブ版)の逮捕後の報道によれば、平尾容疑者は24日に本州側へ渡ったとも話しているという。実はこの日、広島を含む中国地方では強い雨が降る荒天だった。向島のある尾道市では、夕方から深夜にかけて、
「大雨・洪水・強風・波浪・高潮」
の5つの注意報が出ていた。
また、地元の放送局「テレビ新広島」は27日のウェブ版記事で、向島の防犯カメラには24日夜の時点で、平尾容疑者に似たひげを生やした不審者の姿が写っていた、という情報を伝えている。もし、この不審者が本人であれば、海を渡ったのは24日夜以降となる。
これらの報道を踏まえると、平尾容疑者は気象警報が出る程の荒天のなか、潮の流れが早いことで知られる海を夜に泳いで渡った――そんな可能性も考えられるのだ。そのため、ツイッターやネット掲示板には、
「あの脱獄者、向島~尾道を泳いで渡ったの...しかも、あの雨の日って...」
「強雨の降る日に尾道水道200メートルを泳いで渡ったのか」
「大雨すげーな 怖くないのかよ」
などと驚く声も出ている。ただ一方で、荒天であれば海で衣服が濡れたとしても怪しまれない可能性が高いとして、
「広島県内が雨になるまで潜伏していたのかもしれません」
「雨だと水面がカモフラージュできますし服が濡れていても不思議でもないな」
などと平尾容疑者の意図を憶測するユーザーも出ていた。