「一般の人たちの間でも、トランプ支持者と反トランプ派で断絶が起きている今、この写真は政治理念を超えて、アメリカがひとつになった姿のように見えます」
私は保守派のFOXニュースも、リベラル派といわれるABCやCNNニュースも見るので、どの局だったか覚えていないが、ブッシュ元米大統領の夫人、バーバラさんの葬儀の直前に撮影された写真について、女性ニュースキャスターがそう語っていたのが印象的だった。
党派を超えた3代の大統領
2018年4月17日に92歳で死去した バーバラさんの葬儀は21日、南部テキサス州ヒューストンの教会で営まれた。
この写真では、車椅子のブッシュ元大統領を囲むように、3代の元大統領とその夫人、そして、現在のファーストレディのメラニア夫人が立っている。息子のブッシュ氏はローラ夫人とヒラリー・クリントンさんの肩を抱き、メラニア夫人はオバマ元大統領夫妻の隣に寄り添っている。
誰もがとても自然な笑顔で、リラックスしているように見える。 73年間、添い遂げた最愛の妻を失ったばかりのブッシュ元大統領に、政治理念を超えて哀悼の意を表し、寄り添っているようだ。ここに党派の壁はない。
この連載では、トランプ支持者、反トランプ派、どちらともいえない派など、「トランプのアメリカ」で暮らす人たちのさまざまな生の声を、できるだけ中立な立場で紹介してきた。
政治理念の対立は何も今始まったわけではないが、米大統領に対する反感や嫌悪感が、これだけあからさまになった時代は、これまでなかったかもしれない。
それを国民が肌で感じていることもあるのだろう。この写真は「アメリカの美しさが表れている」、「この国の民主主義の象徴だ」、「希望を与えてくれる」、「どの言葉より真実を写し出している」などと大きな反響を呼んだ。