スピード審査が裏目か
スルガ銀行は1980年代から個人向け業務を強化し、素早い審査やユニークな商品展開で注目されてきた。金融庁の森信親長官も、高収益のスルガ銀行をたびたび成功事例として挙げ、地銀業界に「独自のビジネスモデルを」と、スルガ銀を見習うように呼びかけてきたほどだ。
しかし、今回の問題では、スピード審査がずさんな審査につながった可能性が否定できない。日銀の超低金利政策で地銀の収益が圧迫される中、多くの地銀が比較的金利が高いアパートローンに走ったが、スルガ銀行の注力ぶりは業界でも「突出していた」(地銀関係者)。他行の審査に通らなかった人でも、スルガ銀行なら融資が受けられるとして「不動産投資をする個人に人気だった」(同)という。
リスクをとって比較的高い金利で貸し、高収益を上げるビジネスモデルで存在感を高めてきたスルガ銀行だが、その経営姿勢はハイリスクの投資ブームをあおることにもつながった可能性がある。ましてや不正融資に関与していれば、当事者に加え、トップの責任問題に波及するのは間違いない。「地銀の手本」として評価していた金融庁の監督責任も問われそうだ。