「新たな改革開放のラッパ」
海南省の自由貿易試験区は、昨年から着手されていた。
それは、政治的な理由がある。国内面では、「19大」(中国共産党第十九次全国代表大会)が開催されて上級指導者の権力構造が確立され、習近平主席は「18大」(中国共産党第十八次全国代表大会)の三中全会で行った公約を実行に移すため、新たな改革開放の推進に着手している。また、国際面では、米国との貿易戦争の脅威や中国にさらなる開放を要求する日本などの西側からの圧力に対処するためでもある。2018年は中国の改革開放40周年、海南省設置及び経済特区設立30周年にあたり、この機会に海南省の同政策が発表されたのは、政府系メディアによれば、「海南が吹き鳴らす新時代の新たな改革開放のラッパ」である。
海南島は「21世紀の海上シルクロード」の重要拠点であり、同時に中国と南シナ海に位置する各国を結ぶ重要なハブだ。つまり、中国共産党が期待する未来の海南島は、単なる「中国」の自由貿易港ではなく、アジア太平洋地域を放射的に包含し、世界的に最も優れたビジネス環境を備えた自由貿易港のプラットフォームなのである。
面積では、これまでに存在した国外の全ての自由貿易港をはるかに上回る。同時に、その相互作用及びその連動性もまた、他の地域では類例のないものだ。習近平主席が提起した「産業の大融合、発展の大連動、成果の大々的な共有」もこの地で果たされることだろう。
さらにいえば、海南はまた、中国共産党の新たな発展理念の重要な担い手として適任であることだ。習近平主席は海南島で何度も人と自然の共存について触れた。海南には優れた自然環境の条件がそろっており、工業汚染の影響を受けていないため、「イノベーション、協調、エコ、開放、共有」の五大発展理念の実行において、この上なく条件を満たしている。