商社の子会社だからといって「成果はみえにくい」
セブン独走の最大の理由は、弁当やパン、店内調理の総菜などの商品開発力で圧倒的にリードしているからだといわれている。その商品開発力は、商社の子会社になったから磨かれるわけではない。
伊藤忠の鈴木善久社長兼最高執行責任者(COO)は記者会見で「小売りの展開はプロに任せるが、デジタル化の推進や周辺事業は様々な形で協業する」と語った。コンビニで商品を売るという「本業」部分ではなく、「周辺」部分を進化させ、本業を補おうというわけだ。
ネットや金融との融合という観点では、王者セブンといえど、確たるビジネスモデルがあるわけではない。ここに伊藤忠がセブンを攻略するポイントがあるかもしれない。新事業の創出は、総合商社の得意分野だ。伊藤忠が自らのネットワークを生かし、自らの責任で新たなビジネスモデルを築ければ、セブンに追いつくのも夢ではない。
もっとも、コンビニが商社の子会社になったところで、直ちに効果があるわけではない。2017年2月に三菱商事がローソンを子会社化したが、「子会社化の成果がみえにくい」との声もささやかれる。
三菱商事をライバル視する伊藤忠はどうか。ファミマは消費者ではなく、親会社の方をみて商売し、結局うまくいかないのではないか――。そんな懸念もぬぐえない。