韓国の文在寅大統領と北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長は2018年4月27日の首脳会談後に共同声明を発表し、「完全な非核化を通じて、核のない朝鮮半島を実現するという共同の目標」を確認した。同時に、現在は休戦状態の南北関係について、18年中に「終戦を宣言」するとした。
現時点では、この「完全な非核化」と、日米韓が求める「完全かつ検証可能で不可逆的な方式の非核化(CVID)」が同じものかは明らかではなく、「核のない朝鮮半島」が何を意味するかや、具体的なロードマップ(工程表)にも言及はなかった。6月初旬にも行われるとみられる米朝首脳会談では、こういった点も焦点になりそうだ。
ミサイル、在韓米軍に言及なし
北朝鮮は4月20日に朝鮮労働党中央委員会総会を開き、「核の兵器化の完結が検証された」として、核実験と大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射を中止し、北朝鮮北部にある核実験場を廃棄することを決めた。ただ、短距離・中距離ミサイルについての言及はなく、すでに持っている核兵器についても引き続き保持すると読める内容だった。
今回発表された「板門店宣言」では、非核化について
「南と北は、完全な非核化を通じて、核のない朝鮮半島を実現するという共同の目標を確認した。(中略)南と北は、朝鮮半島の非核化に向けた国際社会の支持と協力に向けて、積極的に努力することにした」
と、「完全な非核化」に言及した。
この非核化をめぐる条項の直前には、朝鮮戦争(1950~53)の休戦協定の平和協定への転換を目指すことも盛り込まれた。
「南と北は停戦協定締結から65年になる今年、終戦を宣言し、停戦協定を平和協定に転換し、恒久的で強固な平和体制構築のための南・北・米3者、または南・北・米・中の4者会談の開催を積極的に推進していくことにした」
平和協定が締結されれば北朝鮮にとって安全保障上のリスクが下がり、非核化へのハードルも下がる。平和協定は非核化の前提だとも言え、そこに大きく関与することになるのが米国だ。今回の宣言ではミサイルや在韓米軍への言及はなく、米朝会談でどの程度話を詰められるかも焦点になりそうだ。