「平壌から、苦労しながら平壌冷麺を持って来ました。遠いところから......遠いと言ってはダメですね(笑)、おいしく召し上がってください」
北朝鮮・金正恩委員長が首脳会談の冒頭、ジョークの種にしたのが「平壌冷麺」だ。
会談後の晩餐会では、韓国側が用意する料理とともに、北朝鮮から持ち込まれたこの平壌冷麺を、2人の首脳が食べることになる。いったいどんな味なのだろうか。今回供されるものと、同じ店で食べたことがある人に話を聞いてみると――。
金日成も大好物、週2で食べる
冷麺は、朝鮮半島を代表する麺料理の一つだ。米作に適さなかった半島北部で古くから食べられた。土地によっていくつかのバリエーションがあるが、平壌を中心に発展した「平壌冷麺」は、そば粉を使った黒みがかった麺に、冷たいスープ、具材を和えて作る。日本で冷麺というと、岩手県盛岡市発祥の「盛岡冷麺」が有名だが、これは朝鮮半島出身の青木輝人さん(故人)が、郷里の味をアレンジして作ったもので、「本場」のものとは趣が異なる。
金正恩氏の祖父、故・金日成国家主席も、冷麺が大好物だった。過去の読売新聞記事(1995年11月11日付)によると、別荘で週に2回のペースで、子どもたちと特別製の冷麺に舌鼓を打ったという。
今回、金正恩氏が韓国に持ち込むのは、平壌市内のレストラン「玉流館」の冷麺だ。平壌冷麺の代表格として知られる。複数回の訪朝経験があり、実際にこの玉流館で平壌冷麺を食べたことがある日本人ライターに、J-CASTニュースが話を聞くと、「日本の冷麺とは異なり、良い意味でイメージとまったく違ったことを記憶しております」といい、
「歯ごたえのある麺に、さっぱりとした酸味と旨味のあるスープ、それに調味料や具材の組み合わせが絶妙で、平壌市内でいくつか食べた平壌冷麺でも、同食堂が最も素晴らしいとの印象を受けました」
とその味を絶賛する。