「なぜ笑う」
番組では、樋渡氏にまつわるエピソードも紹介された。「試合中にハリルホジッチ監督より先に審判に抗議した」「練習中にハリルホジッチ監督と同じように熱く選手を指導した」。スタジオでは手を叩いて笑いが起き、小木さんは「腹立つわ~」、坂上さんは「面白い! この人面白いね!」と一言入れた。
いつの間にか樋渡氏を笑い者にする空気となった中で、反論するようにホラン千秋さんは「過去にも、監督が怒って審判に詰め寄って退場になることもありましたから、それを止めるために、だったら自分がと...」と心理を推測しようとしたが、坂上さんが「それはないよ」と割って入り、「監督がいなくなったら俺(樋渡氏)が監督やればいいんだから!」と笑った。
ホランさんは「受け手(選手)はイラッとするかもしれないけど、選手に寄り過ぎると監督のストレスがたまるし、間に挟まれてすごく大変だったと思いますよ」と別の点からも理解を示したが、坂上さんは「だからこそバランス取る役目があったと思う」と受け付けなかった。
久保氏は「私もしょっちゅうハリルさんに説教を受けてきましたけど、2倍ふりかかってきましたから。『お前はどういう取材をしているんだ?』とか」と体験談を話した。「(樋渡氏から通訳で)『お前は』とは言われなかったですけど、『お前は』の勢いで来ました」と恨み節だ。「『監督はああいうけど、本当は気の優しい監督だから』という通訳の方もこれまでにいましたから」とダメ出しすると、小木さんは「そういう一言ほしいですよね」と頷いた。
さらに久保氏が樋渡氏を「サッカーの指導力に関しては、日本サッカー協会でもトップクラスの人材」と評すると、坂上さんは思った通りだと言うように「う~わ~そうかやっぱり自分の戦術入れたくなっちゃうんだね!」とツッコんだ。出演者らも「絶対ね、完全にね」「自分のほうがすごいと思ってるんだ」などと同調した。
このような番組のやり取りに、ツイッター上では「なぜ笑う」「実に腹立たしい」「これは酷い。酷すぎる」「一生懸命頑張った人を、茶化して笑うもんじゃあないよ」「失礼極まりないです。これを見た瞬間、正直がっかりしました」と疑問の声が続々とあがった。
樋渡氏の教え子という早稲田大学ア式蹴球部の中山尚英さんは、「群さんには小、中学時にサッカーを教わり、僕が怪我した時は1冊の本をいただき、励まして下さった。情熱に溢れ、人との関わりを大事にされており、僕の尊敬する方の一人。一般的な立場から見ても、日本サッカー界に大きな貢献をした彼に対して、どこにバカにできる要素があるのか、わからない」とツイッターに投稿していた。