ヤマダ電機の株価が連日、年初来安値を更新し、値下がりに歯止めがかからない。
白物家電の買い換え需要などから同業他社の業績が好調な中、2018年3月期の純利益の増益予想から一転、減益予想に下方修正したことで、売り圧力が高まった。業績は新たな決算期に上向くとの見方もあるが、株価は反転のきっかけをつかめずにいる。
経常利益が従来予想より43%も減少
ヤマダ電機が4月13日に発表した業績予想で、純利益は従来予想の470億円から38.3%(180億円)低い290億円に下方修正した。2017年3月期の実績は345億円だったため、増益予想が減益予想に転じた格好だ。経常利益も従来予想より43.6%減の470億円、営業利益も従来予想より49.1%減の380億円ということで、経常、営業各利益とも「増益予想から一転減益予想」という、かなり印象の悪いものとなった。ちなみに売上高予想も従来予想より1.7%減の1兆5730億円を見込むとし、2017年3月期の実績は辛うじて0.6%上回る。
業績予想を下方修正した主因は、住宅関連設備などを充実させ、リフォームの提案なども行う「家電住まいる館」に店舗の一部を業態変更(改装)することによる。業態変更は、2019年3月末に約100店を計画し、これはヤマダの直営店舗の1割に相当する規模だ。これによって家電製品の取り扱いが減って在庫圧縮が必要となり、値引き販売などで採算が悪化。また、仕入れ減少によって年間の仕入れ額に応じて決まるリベートが大幅に減少することも利益を圧迫するとみられている。さらに、子会社のヤマダ・エスバイエルホームが業績不振で住宅展示場などの減損損失を計上し、2018年2月期の純損益が27億円の赤字だったことも影響する。
「窓をあける」大幅な下げ
業績下方修正を受けた週明け4月16日の株価は「窓をあける」大幅な下げだった。「窓をあける」とは前営業日の安値よりも当日の高値が低い状況で、チャート図で示すと間があいたように見え、株価の推移の中で大きな節目、転換点とされることが多い。終値ベースで見ると16日は前日比9.0%減の597円。その後も反転の気配はなく、州が変わって23日には一時、550円の年初来安値を付けた。
ケーズホールディングスやビックカメラが増収増益を見込む中で逆風が吹いているだけに、ヤマダ電機の業績下方修正を受け、ドイツ証券やメリルリンチ日本証券など外資系が相次いで目標株価を引き下げた。
ただ、国内系証券各社は比較的冷静に見ており、SMBC日興証券はリポートで「在庫の水準が適正化されれば、業績は持ち直す」と表現した。「業態変更は生みの苦しみだった」と後で振り返ることができるのか。業績回復の予兆を感じることができないと、株価が持ち直すのは難しい可能性もある。