記者会見で不機嫌そうに逆質問する麻生太郎財務相兼副総理の記者会見のスタイルが、小野寺五典防衛相にも「感染」しつつあるようだ。シビリアンコントロールについての認識を問う香港のテレビ局記者の質問に対して、「どこの国で報道されてるんですか?」。
小野寺氏は普段は丁寧な答弁で知られ、こういった反応は珍しい。日報問題や小西洋之参院議員への暴言問題などトラブルが相次ぐ中、冷静さを欠いているという指摘も出そうだ。
「それはどこの国の話を、海外っていうのはどこで放送されたんだと」
発言が出たのは2018年4月24日の会見。約25分間にわたって行われた記者会見の中盤で、香港のフェニックステレビの記者が
「今回の一連の日報のことは海外でも大きく報道されましたけれども、日本のシビリアンコントロールの現状をどのように認識されていらっしゃるか、教えて下さい」
と質問した。国外から日本のシビリアンコントロールに疑念を持たれかねない状況を念頭に置いているとみられるが、小野寺氏は
「それはどこの国の話を、海外っていうのはどこで放送されたんだと」
「どこの国で報道されてるんですか」
などと「逆質問」を繰り返した。記者が中国や中華圏で報道されていると答えると、小野寺氏はさらに
「で、中国の世論が日本のシビリアンコントロールを心配しているということなんですか?」
と疑問を呈した。記者が
「いいえ、心配よりも、現状認識をどのように思っていらっしゃるのか、教えて下さい」
と、最初の質問を繰り返し、やっと小野寺氏は
「防衛大臣含めて、国民の代表が実力組織である自衛隊をしっかりと掌握をし、そして様々な対応を迅速に行うためには、今回の日報案件一つとっても、やはりおろそかにしてはいけないことだと、重大な認識を持っております。引き続きこの問題の解明をしながら、風通しの良い組織にしたいと思っております」
と答弁した。
日報問題は、中華圏のメディア以外にもロイター通信など英語圏のメディアも報じている。世界中で報じられている問題について、小野寺氏がわざわざ「どこの国」かを確認しようとした真意は不明だ。
麻生氏は「聞いてんだよ、おれが。質問してんだから」
もっとも、麻生氏の「逆質問」は、小野寺氏よりもはるかに敵対的だ。財務省の福田淳一事務次官の辞職が認められた直後の4月24日の記者会見では、福田氏を一旦官房付にした上で処分をした上で辞任を認めるべきだという声が野党から出ていることが話題になった。この点をNHKの記者が質問したところ、麻生氏は
「官房付にしたときは給料は誰が払うの?どうして?野党が税金で払うべきだと言ってるの?言ってるの?聞いてんだよ、おれが。質問してんだから。野党がそう言ってんのは分かったけど、給料は誰が払うのかって聞いてる。野党が払ってくれるのか?」
などと反論。記者が「そこまでは...」と口ごもると、麻生氏は記者の社名を間違いながら逆質問を繰り返した。
「じゃあ誰が払うの?税金で払うの?おい、どうして?問題だって辞めた人に税金で給料払わなくちゃいけないの?もうちょっと常識的なことを聞くようにしたら?朝日新聞だったら」