自民党の下村博文・元文科相が2018年4月22日に都内で開かれた会合で、財務省の福田淳一・前事務次官からセクハラ被害を受けたテレビ朝日記者の行為を「ある意味犯罪」だと述べていたことが明らかになった。発言は共産党の機関紙「しんぶん赤旗」が4月23日に音声つきで報じ、これを受けて下村氏は「表現が不適切」だったとして謝罪・撤回するとするコメントを発表した。
ただ、下村氏が取り消したのは「ある意味犯罪」の部分で、女性記者が「端(はな)から週刊誌に提供する意図で隠し録音をしていたのではないかという疑念が生じた」とも説明。「被害者の人権と尊厳を傷つける内容」だとして、さらに批判を呼んでいる。
「週刊誌に売るっていうこと自体が、はめられてますよね」
共産党が「完全版」だとしてユーチューブに公開した38秒の音声では、下村氏とみられる男性が次のように持論を展開した。
「日本のメディアっていうのは、日本国家をつぶすために存在しているのかと最近、つくづく思う。それからまあ、あのー、とにかくテレビは見ませんけれども...むしゃくしゃするから。見るとですね、そんなことばっかでしょう?つまんないことで。まあ確かにね、福田事務次官が、あのー、とんでもない発言してるかもしれないけれども、そんなの隠しテープでとっといてね、テレビ局の人がですね、週刊誌に売るっていうこと自体が、はめられてますよね。ある意味で犯罪だと思うけど...」
なお、テレビ朝日は女性記者が新潮側に音声データを渡したことを明らかにし「遺憾」だとしたが、「売った」とは言っていない。
赤旗は下村氏が「セクハラ被害者を『犯罪者』扱いする暴言を吐きました」と報道。これを受ける形で下村氏はコメントを発表した。
下村氏のコメントは
「『ある意味犯罪』と述べたのは表現が不適切でした。率直に撤回するとともに謝罪いたします」
と結ばれているが、撤回・謝罪したと読めるのは「ある意味犯罪」の部分のみ。さらに、この結論に至るまでのコメントの内容では、女性記者を非難するととれる部分も多い。