トランプ大統領が指摘した対日貿易赤字額、実は100億ドル以上も違う 米ファクトチェックサイトが検証

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「モノ」だけなら「ギリギリOK」に見えるが...

   ポリティファクトは、「TPPに戻りたくない」という発言の前提になっている貿易赤字の額「年690億ドルから1000億ドル」に着目した。

   ポリティファクトがホワイトハウスに問い合わせたところ、この数字の根拠になったのは国勢調査局の統計だ。それによると、モノの対日貿易赤字額はここ数年670~690億ドル程度で推移しており、17年は688億ドルだった。この時点では、

「690億という数字はギリギリOKかもしれないが、1000億となると、あまりに違っている」

という評価だが、専門家に意見を聞いたところ、さらに発言の信ぴょう性は下がった。

   一般的に貿易額は「モノ」だけではなく、金融、保険、ビジネスコンサルティングといった「サービス」を含めて計測するためだ。国勢調査局の「モノとサービス」の統計を見ると、対日赤字は100億ドル規模で減少し、全体としての対日貿易赤字は17年は570億ドル程度だ。

   ポリティファクトでは、政治家の発言を「真実」から「大ウソ」の6段階で評価。このトランプ氏の発言は、

「確かに貿易赤字があり、しかもそれはある程度の金額だ。690億ドルには根拠があったが、他はまるで意味がないものだった」

などとして、上から3番目の「半分真実」だと評価した。ただ、観客は総じてトランプ氏の発言を低く評価し、シャロックマン氏は、さらに1段階低い「ほとんどウソ」だと判断してもよかったかもしれない、と述べた。

   シャロックマン氏の講演は、ファクトチェックを支援する団体「ファクトチェック・イニシアティブ(FIJ)」の設立を記念するシンポジウムの一環として行われた。講演後のパネルディスカッションでは、元TBSアナウンサーで白鴎大学客員教授・下村健一さんらが、ファクトチェックや、メディアを読み解く「メディアリテラシー」など、フェイクニュースの拡散を防ぐための取り組みについて議論した。

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