米中貿易戦争が勢いを増している2018年、両国間では密かにもう一つの「戦争」の火ぶたが切られている。それは、量子コンピューターの「独自開発」をめぐる競争だ。
2014年から、中国は量子計算の分野での特許、応用件数で米国を上回っている。2017年までに、中国の関連特許はすでに553件に達し、米国は307件に過ぎない。これがすでに米国メディアの警戒心を刺激している。
暗号技術で重要な役割
従来のコンピューターは二進法を採用して計算するシステムで、それぞれ1あるいは0は1個のビットを代表しており、それがデータ貯蔵の最小単位となっている。量子コンピューターは「量子ビット」を採用して単位としており、従来と比較すると、少ないエネルギーで、より多くの情報を内蔵することができる。
新華社通信は「もし量子コンピューターが50個前後の量子ビットを有効に操作できれば、能力は従来のコンピューターを上回り、従来のコンピューターに匹敵する『覇権』を実現できる。この種の『量子覇権』はまさに各科学研究機関の競争目標となっている」などと解説する。
米誌『ワイアード(Wired)』によると、量子コンピューターは従来のコンピューターとは原理が異なり、例えば、数量が膨大な素数を探し当てるなど、特定の数学問題の解決に非常に適している。素数は「暗号」の分野で非常に重要であり、量子コンピューターによるセキュリティー・システムの迅速な解読で、「量子ハッカー」が誕生した半面、量子技術を基にした暗号化システムによって、暗号の安全性をさらに強化することができる。
量子計算のビジネス化の面では、市場規模の伸び率は驚異的である。中国の市場研究公司の「Research and Markets」によると、2016年、量子コンピューターの市場規模は約8840万ドルに過ぎなかったが、米国の市場分析機関「通信業研究院」は、量子コンピューターの市場規模は2023年に19億ドルに達し、2027年には80億ドルに上る可能性がある、と分析している。