東海第2原発、再稼働にむけ周辺5市に「事前了解権」

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協定の運用にはグレーゾーンも

   もうひとつ、原発立地県の中で、茨城は比較的豊かで、原発が県経済の屋台骨になっている福井県などとは事情が異なること。そうした県では「県が市町村を〝コントロール〟しながら電力会社と話を詰めていくが、茨城は県が仕切らない」(関係者)という。相対的に、地元市町村の声を尊重せざるを得ないというわけだ。

   とはいえ、協定の運用にはグレーゾーンが残る。6市村の間で意見が食い違った場合、原電が一方的に協議を打ち切るような事態は考えられないが、6市村の多数決で決めるというわけにもいかない。最後まで見解が分かれた場合について、ある関係者は「反対する自治体に、原電としては説得に努め、ギリギリ、『同意はしないが反対もしない』といった形で容認してもらうしかない」という。しかし、「一つの自治体でも納得しなければ再稼働しないということ」(周辺5市長の一人)との声もあり、合意形成の方法は今後の課題だ。

   今回の協定と並行して、原電は東海第2の安全投資に必要な投資についての東京電力と東北電力からの資金支援も取り付けた。

   再稼働に向けた安全審査で、原電は防潮堤の建設など1740億円の追加投資をする計画を出したが、原子力規制委員会は資金確保策も示すよう求めていた。原発専業の電力卸売会社である原電は保有する東海第2と敦賀原発2号機のいずれも停止したままで、自力で資金調達ができないからだ。

   原電は4月5日、規制委の審査会合で東電、東北電両社の社長名で「原電に資金支援を行う意向がある」と記した文書を示し、規制委から疑問とする声は出なかった。

   ただ、これで再稼働が確実になったわけではない。東海第2は稼働40年を迎える2018年11月までに、再稼働だけでなく延長運転(最長20年)についても規制委の許可を受けなければ、廃炉になる。そのために準備しなければならない書類は膨大で、規制委から追加で求められることも多い。例えば設備の詳細な設計をまとめた工事計画の審査は、原電側の書類の提出遅れや不備によって停滞しているという。「電力会社からの応援部隊の助けを得て作業している」(原電関係者)というが、マンパワー的にも、半年余りというタイムリミットに向け、余裕はない。

   もちろん、周辺5市に拡大された事前了解の取り付けという〝大事業〟も待っている。

   東海第2は生き残りに向け、まさに綱渡りが続く。

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