東海第2原発、再稼働にむけ周辺5市に「事前了解権」

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   日本原子力発電(原電)が、東日本大震災で停止したままの東海第2原発(茨城県東海村)の再稼働や運転延長にあたり、立地自治体である東海村だけでなく、半径30キロ圏内の周辺5市にも「実質的な事前了解権」を与える新たな安全協定を結んだ。

   電気事業連合会によると、「事前了解権」を明記して周辺自治体まで拡大したのは全国初。

  • 東日本大震災では『福島第一』をはじめとした、複数の原子力発電所が大きな被害にあった(画像は東京電力の公式サイトより、2011年3月15日撮影)
    東日本大震災では『福島第一』をはじめとした、複数の原子力発電所が大きな被害にあった(画像は東京電力の公式サイトより、2011年3月15日撮影)
  • 東日本大震災では『福島第一』をはじめとした、複数の原子力発電所が大きな被害にあった(画像は東京電力の公式サイトより、2011年3月15日撮影)

多くの自治体から不満の声

   3月29日、東海村と周辺5市(日立、ひたちなか、那珂、常陸太田、水戸)でつくる「首長懇談会」、原電、県の3者が東海村役場で一堂に会し、新協定について合意した。

   協定書は6条からなり、同原発の再稼働や延長運転に際し、6市村が事前に意見を述べたり現地確認を求めるほか、安全対策を要求したりして、「実質的に事前了解を得る仕組みとする」とした。立会人として県も参加する協議会を新設するとも明記した。

   こうした協定は法的な根拠があるわけではないが、地元の理解を得て運営するため、原発を持つ電力各社は、立地自治体だけに、事前了解権を認めてきた。ところが、東京電力福島第1原発事故を受け、原発の30キロ圏にある自治体は、事故に備えた避難計画策定を義務づけられる一方、再稼働を認めるか否か、事前に判断する権限がないという「ねじれ」に、多くの自治体から不満の声が出ていた。そんな現状に「風穴」を開けたのが、今回の協定だ。

   特に東海第2では、福島の事故を受けて「脱原発」に転じた東海村の村上達也村長(当時)らが首長懇談会を組織。「原発事故は周辺自治体にも大きな影響を与える」との福島の事故を踏まえ、現行の協定を改定し、事前了解権を周辺自治体に広げるよう原電に求めていた。

   原発の事業者側にとって、再稼働の大きなハードルになる事前了解権の拡大は避けたいところ。原電も渋っていたが、いくつかの要因が重なって、初の協定にたどりついた。 第1に、東海第2が首都圏に近く、半径30キロ圏に、県都・水戸の30万人を含む全国最多の約96万人が住んでいる。原電は先送りを繰り返してきたが、2014年には首長懇と覚書を交わし、安全協定を見直すと約束した。

   第2に、同原発が2018年11月に、原則40年の運転期間を終えるというタイムリミットが迫っているという事情もある。2017年11月に原電が同原発の運転延長を国に申請する前には、首長懇が事前了解権拡大を強く求め、「実質的な事前了解」という言質を原電から取った。

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