『日報隠蔽』の著者に聞く(下) 南スーダンPKO、自衛隊はなぜ危険な現地に踏みとどまったのか

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   自衛隊がPKOで派遣された南スーダンでは、大統領派と副大統領派が反目し、民族対立も絡んで大規模な戦闘が起きていた。自衛隊はなぜ危険な現地に踏みとどまったのか。

   このほど出版された『日報隠蔽』(集英社)の著者で在野ジャーナリストの布施祐仁さんと、朝日新聞の元アフリカ特派員として現地で10数回の取材を重ねた三浦英之さんにJ-CASTニュース編集部がインタビューして改めて聞いた。

  • 布施祐仁さん(右)と三浦英之さん(左)
    布施祐仁さん(右)と三浦英之さん(左)
  • 布施祐仁さん(右)と三浦英之さん(左)

基地が難民で埋まった

――南スーダンでは、自衛隊のPKO宿営地の近くで大きな戦闘が2回あったそうですね。

三浦 13年12月の1回目の戦闘の直後、自衛隊は銃撃戦に巻き込まれる可能性があると判断して、全隊員が銃弾を装填し、「自己防衛のためなら撃て」という、「射撃許可」まで出していた。非常に危険な状況だったのですが、それだけじゃないんです。実は大変なことが起きていた。PKOの基地はフェンスがあって通常は外部から入ることができない。ところが文民保護ということで、UNMISS(国際連合南スーダン派遣団)のトップの判断で、基地を避難民に解放したんです。つまり、装甲車などがいっぱい停まってるPKO基地を解放して、避難民を招き入れた。これはたぶん初めてのことなんじゃないかと思います。国連PKOの歴史の中で。
布施 今のPKOは、文民保護が最優先任務ですからね。
三浦 基地の中にですよ。どうなったかというと、基地の中が避難民であふれかえり、まるで避難民キャンプみたいになってしまった。避難民がそこら辺でおしっこやうんちをするし、そのすぐ近くで洗濯したり、鶏を殺して食べたりしている。もうグッチャグチャ。さすがに自衛隊は自分たちがいる一部のエリアだけはガチガチに守ってるんですけど。
 何が言いたいかって言うと、結局、「守れなかった」んですよ。南スーダンでは至る所に武器が氾濫しており、避難民も当然、武器を隠し持っている可能性を否定できない。いわゆるテロリストが周囲にいっぱいいるみたいなもので、いきなり人混みから撃ち込まれたりした場合には、いくら自衛隊だって防御ができないんですよ。その前までは基地の中にいれば、まあ完全に防御はできたんですけれど。基地の中に避難民が入ってきちゃって、誰が敵なのか味方なのか、それすらもわからない。
 そういう状況になったら、基本的には政治は撤収の判断を下さなければいけない。子どもなんて、自衛隊員がいると寄ってきて、ベルト回りの装備なんかを手でべたべた触ってきたりするんですよ(笑)。にもかかわらず、これは派遣はかなり難しいということが、結局、伝わらなかった。
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