中国語ミステリー、日本の刺激に 島田荘司さんに聞く

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香港でも読まれる日本の推理小説

   島田さんとの対談に臨んだ陳浩基さんは、1975年生まれ。2011年に『世界を売った男』(文藝春秋)で「島田荘司推理小説賞」を受賞しました。香港には専業の推理作家は数人しかおらず、陳さんも大学卒業後、WEBデザイナーやゲーム企画の仕事をしながら書いてきたそうです。

陳浩基さん
陳浩基さん

――香港でも日本の推理小説は読まれていますか。

江戸川乱歩、横溝正史、松本清張など日本のミステリーはよく読まれています。なかでも横溝の『獄門島』が一番好きです。

――どんなところですか。

大きなトリック、面白いストーリー、そして金田一耕助がかっこいいところです。

――『13・67』は、1967年から2013年までの香港社会の歴史が背景にある作品ですね。

はい。反英暴動や1997年の香港返還といった香港人にとって重要なことが書かれています。そのため社会派推理小説の面もありますが、一つひとつの章は本格推理小説の手法で書かれ、それぞれトリックがあります。いろいろな角度から香港を描きたかったのです。

――島田さんから本格推理の定義について尋ねられましたが。

ヴァン・ダインの名前を知ってはいても読んだことはありません。ヴァン・ダインのルールを破るのは読者のためでもあります。ヴァン・ダインの20則と並ぶ推理小説の指針としてノックスの10戒があります。その第5項は、「中国人を登場させてはならない」というものです。それは、いまやほとんど意味をもたないのではないでしょうか。私はSFも書きますが、SFにはアシモフのロボット3原則があります。その3原則を壊してでも面白いものを書きたいのです。
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