「感染リスクはゼロではありません」
こうした注意が寄せられたのは、トキソプラズマという寄生虫に感染するリスクがあるためだ。抗体のない妊婦が感染した場合、胎児にうつる危険があるのだ。
母子感染症の患者団体「トーチの会」の公式サイトによれば、妊婦がトキソプラズマに感染すると、死産や流産を引き起こしたり、産後の子供の体に障害が生じたりする危険がある。一般に、加熱が不十分な肉や、ネコのふんなどを介して人に感染する。
実際、「ローストビーフ」の感染リスクはどれほどなのか。母子感染を専門とする産婦人科医で、ミューズレディスクリニック院長の小島俊行氏は4月20日、J-CASTニュースの取材に対し、
「豚肉や鶏肉と比べれば可能性が低いことは確かですが、決して感染リスクはゼロではありません。妊娠中であれば、なるべく避けた方がいいでしょう。外食先などでは、とくに注意が必要です」
と話す。
また、小島氏は「いまの食品衛生法は、食中毒を起こさないことが念頭にあります。つまり、『原虫』のトキソプラズマは法律の対象外なのです」。その上で、
「ですので、料理人が食品衛生法をしっかりと守ってきちんと調理をしていても、トキソプラズマが除外できているかどうかは分からないのです」
と注意を呼び掛けていた。