一度は「存在しない」とされた陸上自衛隊のイラク派遣時の活動報告(日報)。防衛省は2018年4月16日、計435日分、約1万5000ページ分の日報を公開した。
何が書かれているのか。「戦闘」や「銃撃戦」の記述もある半面、ネットでは「ウインクしてくれるのはオジさんばかり」などといった日常について記述が注目を浴び「ほのぼの日記」だとされている。
朝日新聞が全ページをスキャンしてPDFで公開
政府は04~06年の派遣期間中、自衛隊の活動地域を「非戦闘地域」に限ると説明しており、18年4月17日の参院外交防衛委員会では、この点と日報の齟齬が問題視された。小野寺五典防衛相は
「自衛隊が活動した地域は、いわゆる『非戦闘地域』の要件を満たしていたものと考えている」
と反論した。
朝日新聞は公開された日報の全ページをスキャンしたPDFファイルで公開した。
戦闘関連以外で目立つのが、現地で一緒に活動した他国部隊をめぐる「お国柄」に関するものだ。06年7月5日付の「バグダッド日誌」では、米国の独立記念日(7月4日)について、
「ここバグダッドでは『照明弾やヘリのフレアー(編注:金属製の粉末)がいつもより多く炊かれるのではないか?』と冗談を言っていたが、昨晩は本当に激しくフレアーが炊かれていた」
と、米軍が花火の代わりにフレアーで記念日を祝ったことを紹介し、米英の微妙な関係にも触れた。
「アメリカがイギリスから独立したわけであるが、同じコアリションの仲間としてお祝いするにも何かと気を使うだろうと感じていた。しかしながら日本人的な心配をよそに、米軍人は『能天気』に独立記念日を祝っており、英軍人が冷ややかに眺めているのが印象的であった」
05年10月23日付の「バスラ日誌」では、イタリア人の送別会が話題に。
「イタリア人は日本が好きで、何かあるたびに招かれます。アルコールも入ってきて上機嫌になると過去の同盟ネタになることも。『今度も一緒にやろうぜ。』と言われ、笑いながら心の中で『No』と答える。友達にするには陽気でいい人たちですが...一緒に銃をとって戦うかと言われると躊躇する。国民性は、時代を経てもあまり変わらないんだなと思います」