財務省の福田淳一事務次官(58)が女性記者にセクハラ発言を繰り返していたと週刊新潮が音声つきで報じた問題で、財務省は2018年4月16日、疑惑を否定する福田氏のコメントを発表した。
女性記者とのやり取りについては否定する一方で、女性が接客する店に行って「お店の女性と言葉遊びを楽しむようなことはある」とも話したという。そうなると、次に問われてくるのは、こういった発言は「言葉遊び」で、「お店の女性」とならば問題ないのか、という点だ。麻生太郎財務相は4月13日閣議後会見で「(セクハラ疑惑が)事実なら、セクハラという意味ではアウトだ」と述べたばかりで、今回の発表を受けて早くも「アウト」の声が出ている。
女性記者の心当たりは「問われても答えようがない」
福田氏はコメントの中で、新潮が報じた女性記者の心当たりについては
「女性記者との間で、週刊誌報道で詳細に記載されているようなやりとり(また、音声データ及び女性記者の発言として画面に表示されたテロップで構成されるやりとり)をしたことはなく、心当たりを問われても答えようがない」
などと否定する一方で、
「普段から音声データのような発言をしているか」
という問いには、
「お恥ずかしい話だが、業務時間終了後、時には女性が接客をしているお店に行き、お店の女性と言葉遊びを楽しむようなことはある。また、仲間内の会話で、相手から話題を振られたりすれば、そのような反応をするかもしれない」
と回答。新潮が公開した音声データには男性の声で
「今日ね、今日ね...抱きしめていい」
「予算通ったら浮気しようか」
「いやいや手縛っていいから。手縛ってあげる。胸触っていい?」
といった発言が確認できる。こういった発言について、「お店の女性と言葉遊び」する一環ではあり得る、としたわけだ。
「否認」は更迭論にどう影響?
立憲民主党の蓮舫参院議員は財務省の発表後にツイッターを更新し、
「言葉遊びのレベルって何?また、お店の人ならいいとの認識、全てアウトだ」
などと福田氏を改めて批判、資質を改めて問題視した。
福田氏は、新潮記事は名誉棄損にあたるとして提訴の準備を進めていることを明らかにしている。一方、財務省は外部の弁護士に委託して調査を継続する。その中で、
「一方の当事者である福田事務次官からの聴取だけでは、事実関係の解明は困難」
だとして、財務省の記者クラブ(財政研究会)の加盟社に対して、
「やりとりをした女性記者の方がいらっしゃれば、調査への協力をお願いしたいこと」
を周知するように要請したことも明らかにしている。こういった要請は異例で、情報源特定につながりかねないだけに、批判も出そうだ。
福田氏をめぐっては、産経新聞が4月16日朝刊の1面トップで
「更迭へ」と報じるなど、政権内でも更迭論が浮上している。ただ、菅義偉官房長官は4月16日午後の会見で、
「できる限り速やかに調査を進めた上で、適切に対応することが必要だと考えているが、いずれにしろ、財務省において、任命権者である財務相が対応していくべき話」
などと話した。調査結果によっては更迭が現実味を帯びるが、菅氏は調査が完了するメドを明らかにしなかった。