マヨネーズなど調味料大手のキユーピーの株価が、2018年4月に入って下げがきつくなっている。4日には一時、2476円と前日終値比10%超も下落し、年初来安値を更新、その後も2500円を挟んで軟調な展開になっている。活路を開くと期待された中国事業の伸び悩みが明らかになったことが大きく影響している。
人口減少時代に突入した日本の大手食品企業は、デフレとも相まって、長らく国内需要の低迷、さらに先行き減少見込みという、避けて通れない課題に直面している。それが故に海外に活路を見いだそうと、こぞって進出を図っている。日本たばこ産業(JT)がその先頭ランナーで、売上高の大きいビール各社が続き、キッコーマンなどの調味料産業も積極的に事業展開を試みている。
海外売上高比率は7%程度
キユーピーの海外売上高比率はまだ7%程度だが、このうち上昇軌道に乗り始めた中国事業に株式市場の投資家の期待が集まっていた。2018年1月に発表された17年11月期通期決算では、中国事業の売上高が181億円で前期比15%増。キユーピーは今走っている18年11月期の計画では18%増の214億円と決算資料で明示した。
しかし、キユーピーが4月3日に発表した第1世半期(2017年12月~18年2月期)決算では、中国事業が失速した。売上高は現地通貨ベースで4%増にとどまり、伸び率は前年同期(22%増)を大きく下回った。金額は4億円増の42億円。このままでは通期計画の214億円には及ばない可能性が出てきた。
物流事業で人件費と燃料費が上昇
これについてSMBC日興證券が出した「決算・業績フラッシュ」は、「成長けん引役として期待を一身に背負っていた中国だが、競合の出現による競争激化というリスクが顕在化してきた」と指摘。ライバルは米食品大手クラフト・ハインツなど海外勢。こうした競合各社との低価格競争を通じて「成長力の低下に加えて利益率の悪化も懸念される」との厳しい見方を示した。
キユーピーの国内事業は足元の野菜高騰によって調味料需要が減少傾向にあるほか、物流事業で人件費と燃料費が上昇しており、利益圧迫要因が重なっている。そのため2月以降、株価は下落基調にあった。そうした中で、中国に期待できなくなるとの見通しが出てきたことで、さらに株が売られているという状況だ。もっとも、2017年11月期通期決算も18年11月期第1四半期決算も、増収増益は維持しており、見直し買いが入る可能性もある。