大相撲春巡業の富士山静岡場所で、「ちびっこ相撲」に女児の参加が認められなかった問題で、元プロ野球選手の長嶋一茂さんが「本当に協会はバカじゃないかと思う」と日本相撲協会の対応を猛批判した。
土俵の「女人禁制」が子どもにも及んだ形だ。長嶋さんは2018年4月13日放送の「羽鳥慎一モーニングショー」(テレビ朝日系)で、巡業部長の春日野親方に対し、「女の子たちがこれまで頑張ってきて、その気持ちを考えたことがあるんですか」と激怒した。
「いきなり通達したという高圧的な考え方」
9日に行われた静岡県焼津市での富士山静岡場所では、子ども達が力士に稽古をつけてもらう「ちびっこ相撲」に、前年まで認められていた女児の参加ができなかった。相撲協会から巡業先に急きょ連絡があったという。焼津市相撲連盟の下村勝彦会長は、「(女の子は遠慮してくれという話はこれまで)ない。今回が初めて」と戸惑いを見せた。
長嶋さんは「ちびっこ相撲で女の子が土俵にあがれないのは最低の話だ。基本的人権の尊重の無視というか、憲法違反だと思う」と強く非難。
4日には京都府舞鶴市での春巡業で、市長を救命しようと土俵にあがった女性に「土俵から降りて」と不適切な行司アナウンスが入り、八角理事長が謝罪したばかり。長嶋さんは「舞鶴の巡業は女人禁制で土俵に上がれないと、あれはアンポンタンな行司が突発的に女の人が看護師であっても下がってくださいと言っちゃった。理解はできないけど、おっちょこちょいな人がいるなというレベルですよ」とした上で、
「けど、これ(富士山静岡場所のちびっこ相撲)は昭和53年から男女問わずやっていいと去年まで決まっていて、急に何の説明もなくいきなり通達したという高圧的な考え方は、俺は本当に、協会はバカじゃないかと思う。あり得ない。女の子の気持ちを考えたことがあるんですか」
と怒りを隠さなかった。
「相撲は神事なのか」
巡業の責任者である巡業部長は、17年12月に貴乃花親方が解任されてから春日野親方が広報部長と急きょ兼任。その後18年3月の人事で、春日野親方が巡業部長、芝田山親方が広報部長の職に就いた。
東京新聞の報道によれば、芝田山広報部長は「女性を土俵に上げる上げないの問題ではない」と説明しているという。だが長嶋さんは、
「春日野巡業部長さんが、土俵に上げないようにと理由も何もなく、女の子たちがこれまで頑張ってきて、その気持ちを考えたことがあるんですかということですよ。芝田山さんも、土俵に上げる上げないと関連性はなくて、こっちの方がよっぽど酷い話なんだよ」
と納得しなかった。
さらに「僕は、根底の問題だと思う」とし、
「伝統を全部ぶっ壊せとは言わないけど、相撲は神事なのか、公益財団法人として守られているのか、相撲道を目指すのか、エンターテインメントとして確立するのか。ここがまったく確立されてないし方向性が出てないんです。だから、お金をもらって興行しているにもかかわらず、見たい人は勝手に見てくださいというところもあるし、神事として女人禁制だと、変な文化がある」
と協会の体制を批判。そのうえで、
「女の子たちも小学生の時からこうやって土俵に上がって切磋琢磨しているのを支援したかと思えば、(貴乃花親方が)理事解任で(春日野親方が)巡業部長兼任になって急に変わる。ブレすぎてるからおかしくなる。本当に神事としてやりたいなら、巌流島でやってくださいという話だ。法令もあるし、興行としてお金をもらってるんだから、ファンの底辺の広がり、相撲界の底辺の広がりを考えていかないと」
と求めた。
舞鶴場所以来、議論の対象となっている女人禁制について、長島さんは
「女性がこれだけ社会進出してるのにさ、全く時代遅れ、時代錯誤な考え方だよ」
と主張していた。