サッカー日本代表・西野朗新監督の就任会見が2018年4月12日、行われた。終始浮かない表情や、歯切れの悪い言葉にインターネット上では「この人で大丈夫か?」などのネガティブな反響が続出した。
西野監督は、新チームで実現したいサッカーのイメージを聞かれ、「現時点では描けません」と明言。日本サッカー協会(JFA)の田嶋幸三会長から就任を打診された際、「戸惑いがあった」ことも隠さなかった。識者からも「不安しか感じない」という声が漏れる。
「ハリルホジッチ監督を支え、サポートしたい気持ちで一杯だった」
バヒド・ハリルホジッチ氏の電撃解任発表から3日後のこの日、西野氏の会見は「ロシアW杯直前でこのような状況になり、代表監督を引き受けたことに、非常に責任を感じている」という言葉で始まった。
田嶋幸三・日本サッカー協会(JFA)会長は9日の会見で「選手と監督との信頼関係・コミュニケーション不足」というチーム内の不和をハリルホジッチ氏の解任理由にあげていた。この点、技術委員長として間近でチームを見てきた身として西野氏は
「監督が非常に高い基準で選手に求めているところがあった。監督の意図と選手のやらなければいけない、やりたいプレーという、ギャップを合わせないといけないというのがチームとしてある」
と語っている。
田嶋会長から新監督の打診を受けたのは「先月末」で、
「その時は私自身、間違いなくハリルホジッチ監督を支え、サポートしたい気持ちで一杯だった」
という。チーム状況に鑑み
「この2か月でどう劇的に変えていくのかと考えていたところなので、今回こういう決断に自分が監督として要求されたことで、戸惑いがあった。技術委員長として精一杯やってきたが、足りない部分を感じるし、『監督同様ということになっても』と思ってもいた」
と、ハリルホジッチ氏から監督を引き継ぐことに迷いを感じさせる発言もあった。
一方、「チームがバラバラでひとつになれていない」という指摘が出ると、西野氏は
「決して現状バラバラ、崩壊してるとはまったく思ってないし、しっかり戦えると思います」
と断言した。戦略について「日本のフットボールはあるし、構築してきた技術力を最大限いかし、規律や組織を結束して、化学反応をおこして戦うことをベースに構築する必要があると思う」とし、そのために「選手の力がストレートに出るチームにしたい」と述べた。
だが、「選手に伝えたいサッカーのイメージは?」と問われると、
「いま現時点では描けません」
としており、先行きは不透明だった。
「曖昧な言葉が多過ぎる...」
決して歯切れが良いとは言えなかった会見に、サッカージャーナリストの小澤一郎氏はツイッターで12日、
「日本サッカーのトップを率いる指導者には『化学反応』みたいな曖昧な言葉を使ってもらいたくない。使うならせめて(今後でもいいので)定義を出してほしい。世界のサッカーが急速に体系・言語化されていて、それをJFA技術委員長として2年間キャッチアップしてきたはずなのに曖昧な言葉が多過ぎる...」
と疑問を呈した。また、「スタッフ編成はすべて日本人」という陣容にしたことについても
「不安しか感じない会見内容(言葉のチョイス)でしたが、これには一番驚いた。これだけ切羽詰った状況だからこそ、せめてコーチングスタッフはオールジャパンではなく各ポジションに出来る限り優秀な人材を世界のマーケットから選定、編成してもらいたかった。本当に何の準備もしてなかったんですね...」
と不満をあらわにしている。
スポーツライターでウェブメディア「フットボールエッジ」編集長の鈴木智之氏も同日ツイッターで
「西野監督、色々辛そう。自分がサポートすべきだった人物が切られ、その後釜に据えられる。しかもワールドカップで勝つと言う限りなく困難なミッションにわずか2ヶ月の準備期間で立ち向かわなければならない。歯切れが悪くなるのも無理ない」
と同情的なコメントを投じていた。
そのほかツイッターユーザーからは、
「雰囲気暗いな。西野さん、とても緊張しているように見える。本人としては、責任とって辞任したかったかのような印象を受ける。いっそのこと、西野さん、監督を田嶋会長から押し付けられたって、言っちゃえば良いのにね」
「マズイ。。。完全に西野監督の目が泳いでる。。。。自信も威厳も全く感じない。不安しかない。 こんな人じゃなかった筈なんだがな」
「西野さんの会見を見たけど、歯切れが悪いというよりも質問に的確に答えてられてないし、答弁が終始不明瞭なのでこの人で大丈夫か?っていう疑問が残った」
といった声が続出していた。