国会解散になっても不思議ではない
今回、文科省による学部新設認可のプロセスは、文科省審議会以外の人は一切関与していないで、昨17年に行われたことが明らかだ。
これをみても、文科行政が歪められたとの意見は行政の素人の戯言である。
いずれにしても、本件を政策論の観点でみると、獣医学部が50年以上も新設が文科省で認められてこなかったという経緯がある。しかも、それは文科省告示によって認可申請を行わせないという、およそ一般常識からは考えられないものだ。もし、これが一般の企業であれば、行政訴訟をすれば、確実に文科省が負けるだろう。そうした歪んだ文科行政を特区という枠組みを使って、直したというところだ。
この政策論の立場からすれば、報道されているメモに書かれていることは、仮に事実としても下らないことだ。
しかし、政策論としていかに下らないことでも、政局になりうるのも政治だ。政局としてみると、予算も通った国会開催中なので、国会解散という事態になっても不思議ではない。
来5月にも米朝首脳会談が行われ、北朝鮮情勢で戦後最大級の転換点を迎えようとしている。外交ではこれまでの経験がモノをいう。初めまして、ではまともな突っ込んだ話をできるはずがない。それなのに、国内の下らない政策論で政局になっているのは、国民としてはやり切れない。
++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣参事官、現「政策工房」会長
1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわ
ゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。著書に
「さらば財務省!」(講談社)、「『年金問題』は嘘ばかり」(PHP新書)、「大手新聞・テレビが報道できない『官僚』の真実」(SB新書)など。