田嶋幸三・日本サッカー協会(JFA)会長は、「選手との信頼関係に問題があった」ことをハリルホジッチ監督の解任理由にあげたが、具体的に何が起きていたのかはっきりしない。
代表選手の発言をたどると、監督を批判する選手がいる一方で、シンパシーを抱く選手もいる。「反ハリル」と「親ハリル」は果たして西野朗・新監督の下で一致団結できるのだろうか。
本田圭佑の意向は
田嶋会長は2018年4月9日、ハリルホジッチ監督を7日付で解任し、西野朗・技術委員長を後任監督にしたと発表。ロシア・ワールドカップ(W杯)2か月前という異例の更迭。その理由を「(3月下旬の欧州遠征)マリ戦とウクライナ戦で、選手と監督の信頼関係・コミュニケーションが薄れた」からだと繰り返した。
ハリルホジッチ監督が志向したのは、守備から入ってボールを奪い、素早く縦につなぐカウンター・サッカー。14年ブラジルW杯でアルベルト・ザッケローニ体制がめざした、ボール支配率を高めるポゼッション・サッカーとは対極にある。そのため、ポゼッションを重んじる選手と監督の間に摩擦があったようだ。
FW本田圭佑(パチューカ)は3月30日付のwebスポルティーバ記事で、右ウィングで縦への速さを求められる戦術に「もともと得意なプレーじゃないですよね。でも、監督はチームとして取り組んでいきたい戦術なんですよね」と、葛藤を隠さなかった。さらに
「試合を支配するということが僕は大事だなと思っています。ただ、それがチームのやりたいことかというと明らかに違うと思うし、(考え方の)少なくとも融合みたいなものが、もう少し見つけられないのかなと思っています」
とハリルホジッチ監督に明らかな不満を示していた。解任発表後の4月10日にはツイッターで「It's never too late.」(遅すぎることはない)とだけつづっている。
また、10日付のスポーツ報知によれば、本田は監督と約2時間の激論を交わしたことがあった。FW岡崎慎司(レスター)も直接監督と議論したことがあるという。
MF香川真司(ドルトムント)も、選外となった11月の強化試合・ブラジル戦をわざわざ現地観戦し、ハーフタイムに西野技術委員長へ直談判に向かっていた。本田、岡崎、香川。長く代表を支えながらW杯を前に冷遇されていた3人だ。