「樹海で自殺寸前の方にフリーハグをして説得してみた」。YouTuberとして活動する男性がアップしたこんなタイトルの動画が、インターネット上で賛否を呼んでいる。
動画は、YouTuberの男性が山梨県の青木ヶ原樹海を訪れ、自殺を考えていたとみられる男性を説得するという内容だ。ツイッターや動画のコメント欄には、「感動しました」など好意的な反応が出る一方で、「ネタにしてるようにしか見えない」といった手厳しい意見も目立つ。
「自殺寸前の方にフリーハグをして説得してみた」
話題の動画を投稿したのは、芸能事務所にも所属し、モデルとしても活動している男性YouTuber。主に体を張ったコメディ動画を投稿しており、YouTubeチャンネルの登録者数は約1100人、動画の総再生回数は約6万5000回だ(2018年4月8日昼時点)。
そんな男性は18年3月31日、「樹海で自殺寸前の方にフリーハグをして説得してみた」と題した動画を公開した。冒頭では、「正直、この動画をYouTube上にUPするかしないかでとても悩みました」とし、
「日々、つらく苦しい思いをしている方達に向けて『自分の命を大切にしよう』と、少しでも気づいてもらえたら良いなと思いUPしました」
と投稿の意図を説明している。
動画では、自殺を考えている人を説得する目的で青木ヶ原樹海を訪問したと説明。その上で、樹海の入り口にあるバス停でカメラマンとともに待機し、危うい雰囲気の人物が降りて来るかどうかを探し始めた。YouTuberは「フリーハグ」と書かれたボードを持っていた。
その後、手ぶらの男性(動画ではモザイク姿)がバスから降りて樹海の方向へ歩き去ると、YouTuber一行は「様子を見に行ってみよう」。森の中を1人進む男性に声をかけ、自殺を目的に樹海を訪れたのかと質問すると、「そうですね」と返された。
会社をクビになり、多額の借金も抱えているという男性の悩みを聞き出したYouTuberは、「楽しいことを見つけて、それに向けて頑張ればいい」などと説得。「今日はもう帰りましょう」と勧めると、男性は「はい」と一言。最後にYouTuberは男性をハグし、帰りのバス停まで見送っていた。
なお動画の中では、樹海を訪れた男性からは事後的に撮影の許可を得た、ともテロップで説明していた。
広がる賛否に本人は...
このように、自殺を考えているとみられる男性とのやり取りを撮影した動画に、ツイッターや動画のコメント欄には賛否の分かれた反応が出ることになった。YouTuberの行動に好意的なユーザーからは、
「本当に優しすぎる。尊敬しています。僕もこんな人になりたい」
「人1人の命を救ったのなら、素晴らしいこと」
「誰も損してないからいいことだと思う」
との反応が出る一方で、一連のやり取りを撮影していたこと自体に否定的な向きも少なくなく、
「こういうのをネタで撮られるのは悲しい」
「これYouTubeにUPする意味はあるのか。ネタにしてるようにしか見えない」
「自殺志願者をネタに動画づくりしたと言われてもしゃーない」
といった書き込みが出たのだ。実際、YouTuber動画の「評価」欄も、高評価が約200件、低評価が約750件となっている(8日夕時点)。
なお、こうした賛否の分かれた反応を受けて、当のYouTuberは4月2日に更新したツイッターで、
「前回の動画、様々な意見があってとっても勉強になってます 人間って面白いですね、本当に」
とつぶやいている。