中国が仕掛けた「オイル元」爆弾 米ドル覇権への挑戦状(上)

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世界最大の石油輸入国となった中国

   中国は今回の人民元建て取引について、「上海石油先物取引のねらいは世界で影響力のある石油定価の中心になることだ」と公言している。なぜなら、中国は石油について、すでに極端に輸入に依存しているからだ。

   米国エネルギー省エネルギー情報局(EIA)は2018年1月31日、「中国の2017年の1日当たりの原油輸入量が840万バレルで、初めて米国の790万バレルを超え、世界最大の原油輸入国になった」と発表した。

   石油は工業の血液であり、「世界の工場」である中国にとって、原油価格が一夜にして3%も上がる不安定さに耐えなければならないうえ、米ドルで支払うことを余儀なくされているため、為替相場のリスクも更に原油価格の波を激しいものにしている。

   この20年来、アジアの主要な石油消費国が中東の石油生産国に支払う価格は、欧米諸国が原油を購入する際の価格より1バレル当たり1~1.5ドルも高く、時には米国が輸入した中東産の石油を中国に回すということもあった。

   これらはみなアジア諸国に原油価格の決定権がないからだった。例えアジアの新興市場がすでに欧米を超え、最大の原油輸入市場になっているとしても、基準原油価格はまだ欧米市場を反映するイギリスのブレント原油先物と米国のWTIに従わねばならない。

   そうしたなか、中国は国家エネルギーの安全が常に他者の手に握られていることを望まず、米ドルを避け、人民元を使って国際原油貿易の局面を創りだそうとした。

   中国が人民元建て原油先物を推し進める意味は、現在の世界二大基準の原油先物に対抗するためである。

   石油先物は現物とは異なり、未来の特定の時期にある石油価格を指標とする物的交易であり、これはレバレッジであり、企業にとって最大の働きはリスクを回避することである。

   中国のさらなる望みは、中国及びアジア太平洋市場の需給関係を反映した原油定価基準をつくり、原油価格の決定権をつかみ取ることだ。さらに、この体系の最も重要な柱は「人民元建て」であるということだ。(次回につづく)

(在北京ジャーナリスト 陳言)

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