3か月のスピード決着
そもそも日本は米国と2国間のFTA交渉では、農業分野などで厳しい要求を突きつけられ、不利な交渉になる恐れがあると見ている。このため、トランプ・安倍両首脳の個人的な信頼関係で圧力を回避しつつ、多国間の交渉である環太平洋パートナーシップ協定(TPP)からの米国離脱後も、残る11か国でのTPP11を先頭に立ってまとめ、米国にTPP復帰を促すことを戦略の中心に据えている。
2国間交渉では圧力が強まるという警戒のうえに、今回、韓国との交渉で米国は露骨なまでに政治的、外交的圧力をしかけてきたのを目の当たりにすることになった。通商関係者の中には、「これまで日本は何とか交渉に入らないよう時間かせぎをしてきたが、そろそろ限界では」との声が出ている。
中には「米国で不人気のトランプ大統領が再選されるとは思えず、今から交渉入りしても妥結までにトランプ政権がなくなっている可能性もある」との希望的観測もある。ただ、米韓FTA交渉が3か月のスピード妥結になったことからも、通商関係者の間などでは「油断はできない」との警戒感が一段と強まっている。