法令違反なくてもデータ改ざんを公表した社も
東レは2017年11月、自動車用タイヤの補強材などを製造する子会社の東レハイブリッドコード(愛知県西尾市)が製品の検査データを改ざんしていたと発表した。この時も法令違反などはなかったが、インターネットへの書き込みのほか週刊誌の取材が先行したため、東レがやむなくデータ改ざんを公表した経緯がある。この時の記者会見で、東レの日覚昭広社長は「本来なら公表するつもりはなかった」と発言し、報道陣の質問攻めに遭った。
東レは経団連の榊原定征会長(東レ相談役)の出身会社だ。榊原会長は子会社のデータ改ざんを受け、会員企業に品質管理で不正がないか自主的な調査を行い、法令違反などが見つかった場合は速やかに公表するよう呼びかけた。
会員企業では大手化学メーカーの宇部興産などが、品質データ改ざんが見つかったと発表した。発表時点では法令違反はないという。ところが率先垂範するはずの経団連会長会社の東レが改ざんの有無すら明かさないようでは、東レに対する不信感が解消されないだけでなく、日本の製造業に対する国際的な信頼回復も遠のいてしまう懸念が出かねない。