京都府舞鶴市での大相撲春巡業で起きた「不適切アナウンス」問題をめぐり、騒動のさなかの春日野巡業部長とされる目撃写真が、ネット掲示板などで拡散している。ユーチューブに投稿された動画にも、よく似た人物の姿が確認された。
春日野巡業部長は、事態発生時に「アナウンスは聞こえなかった」と説明していた。
春日野親方を撮影した写真が投稿される
2018年4月4日に舞鶴文化公園体育館で行われた春巡業。多々見良三・舞鶴市長が土俵上でのあいさつ中に倒れ、複数の女性客が咄嗟に土俵に上がり心臓マッサージをした。ほどなくして若手行司が「女性は土俵から降りてください」とアナウンスを入れ、東の花道からは担架や自動体外式除細動器(AED)を持った救急隊員が駆けつけた。人命のかかる状況でのこのアナウンスは物議を醸し、協会の八角理事長は同日「不適切でした」と謝罪した。
巡業の責任者である巡業部長をつとめる春日野親方は5日、市長が倒れた当時に自身は「トイレに行っていた。アナウンスは聞こえなかった」などと説明。騒動をそもそも「まったく把握していなかった」と主張している。
だが、匿名インターネット掲示板「ガールズちゃんねる」で4日、京都新聞の報道をもとに立てられたスレッド「救命女性に『土俵から降りて』 大相撲巡業、市長倒れ」には、こんな目撃談の投稿がある。
「巡業部長 トイレ行っててアナウンスは聞いていなかったってコメント出してる。アナウンスの時、私の横で見てたんだけどな。。。」
投稿には写真が付されており、非常口の電灯がある出入口で、ポケットに手を入れてたたずむ春日野親方の姿を鮮明に捉えている。背後に「役員室」の表札があり、メディアが紹介している会場の見取り図に照らせば東の花道への出入り口にいるようだ。服装はグレーのジャケット、淡いブルーのシャツ、ネイビーのネクタイ、濃紺のスラックス。
ユーチューブ動画にも「そっくり」な人物が
同スレッドにはもう1枚、ほぼ同じアングルから春日野親方を撮影した別のカットが投稿されており、「市長が倒れ、大勢の方が救助にあたられている時に、奥の部屋から野次馬に来たバカ野郎を私は見逃さなかったぞ」と目撃談が併記されている。
前後左右の風景が写っていないため、これらの写真だけでは事態発生当時の春日野親方かどうかは断言できない。写り込んでいる他の人物からの様子から、場が騒然としていることが辛うじてうかがえる程度だ。また、匿名のため、上記の撮影者と同一人物かはわからないものの、スレッドにはほかにも、現場で撮影されたとみられる写真が投稿されている。
一方、テレビ報道などでもたびたび放送されている、市長が倒れ、担架で運ばれる様子を撮影したユーチューブの投稿動画を見ると、気になる場面がある。駆けつけた救急隊員らが土俵に上がったタイミングで、画面左端に映る東の花道の出入り口に、大きな体の男性が立っているのが分かる。顔ははっきりと分からないが、短髪で、服装はグレーのジャケット、淡いブルーのシャツ、ネイビーのネクタイ、濃紺のスラックスを着ている。映像が鮮明ではないため、顔などは判別できないが、体型なども含め、ほぼ同じタイミングで撮影されたとされる、上記の写真とそっくりの出で立ちだ。推測される立ち位置も一致する。
動画で男性の姿がはっきりと見えたのは「女性の方は土俵から降りてください。女性の方は土俵から降りてください。女性の方は土俵から降りてください。男性がお上がりください」のアナウンスが流れてから9秒後だった。
この男性は土俵上の出来事を、ポケットに手を入れて見つめている。すでに救急隊員が駆けつけているせいもあってか、少なくとも、土俵に上がって救命活動に参加しようという様子はない。映り込んでから約47秒後、男性が立ち尽くしていると、出入口から会場内に入ろうとする警察官とスタッフに押しのけられるような形で、道を開ける場面もあった。
動画で姿が映ってから約1分30秒後、救急隊員が市長をのせた担架を持ち上げようとしたタイミングで、男性は踵を返して見えなくなった。