評論家の西部邁(にしべ・すすむ)さんが2018年1月に、東京都大田区の多摩川で入水自殺したことをめぐり、警視庁は2018年4月5日、西部さんの知人の男2人を自殺幇助(ほうじょ)の容疑で逮捕した。
西部さんはこの10年間近くにわたって、東京メトロポリタンテレビジョン(TOKYO MX)で対談番組を持っていた。番組は西部さんの死去で最終回を迎えたが、容疑者2人は、最終回のプロデューサー、西部さんの対談相手として番組に関わっていた。最終回では西部さんが死について触れる場面もあり、「本当に幸いなのは、死ねること」などと話していた。
2008年の初回放送でディレクター務める
西部さんは手が不自由だったが、多摩川に飛び込んだ後に発見された際にはロープが結び付けられた状態だったため、何者かが自殺を手助けした可能性があるとして警視庁が捜査を進めていた。逮捕されたのは、西部さんの知人で、TOKYO MX子会社の社員・窪田哲学(45)と、会社員青山忠司(54)の両容疑者。MXでは、西部さんの名前を冠した番組「西部邁ゼミナール」を、前身の番組を含めると08年10月から放送していた。様々なゲストを招いて西部さんと論戦を交わす内容で、初回放送から窪田容疑者はディレクターとして名を連ねていた。
西部さんは18年1月21日に死去。死去にともなって番組も1月27日に最終回を迎えた。最終回は1月10日に収録され、「西部邁 生前最後のメッセージ」と題して放送。窪田容疑者は、3人いるプロデューサーのひとりだった。そこに対談相手として登場したのが青山容疑者で、西部氏が主宰する私塾「表現者塾」の「塾頭」という肩書だった。