大相撲春巡業で市長の救命にあたった女性に「土俵から降りて」と不適切な指示があった問題で、日本相撲協会の春日野巡業部長が当時「トイレに行っていた」などと説明したところ、責任者としての緊急対応に疑問の声があがった。
かつて力士暴行死事件の再発防止に関わった漫画家・やくみつる氏は、2018年4月6日放送の「とくダネ!」(フジテレビ系)で、「事態は数分間続いていますから、戻って何らかの動きをして良かった」と指摘。小倉智昭さんは「もっと上手な嘘をつけばいいのにね」と溜め息を漏らした。
「アナウンスも聞こえなかった」
京都府舞鶴市で4日に行われた春巡業の舞鶴場所では、多々見良三市長があいさつ中に倒れ、看護師の女性ら複数人が咄嗟に土俵に上がって心臓マッサージをした。だが「女人禁制」のしきたりから、「女性の方は土俵から降りてください」と若手行司がアナウンス。人命がかかった場での不適切な指示に、協会の八角理事長は同日、謝罪と女性らに感謝するコメントを出した。
巡業の責任者である春日野巡業部長は5日に事情を説明。アナウンスした若手行司について「動揺していた。対応に戸惑っていた」としている。一方で自身の対応はどうだったのかと言えば、
「トイレに行っていたので、まったく把握していなかった。その後、着替えようとしていた。アナウンスも聞こえなかった」
と、事態を把握できていなかった旨を述べている。
だが、この説明を聞いた小倉智昭さんは首を傾げた。「とくダネ!」で、「トイレは時間と場所を選ばずですから追及してもしょうがない」としつつ、
「ただ、気持ちとしては、巡業先の市長がごあいさつをなさっている時に、巡業部長はそこにいた方が無難かなと思います」
と疑問を呈した。
07年の時津風部屋力士暴行死事件後の再発防止検討委員会で外部委員をつとめたやくみつる氏は
「たまさか発生時に対応できなくても、その後この事態は現場でも数分間続いていますから、(土俵に)戻ってくれば何らかの動きをして良かったと思う」
との見解を示した。