土俵上で倒れた市長の救命活動をしていた女性たちに「土俵から降りてください」と、行司がアナウンスしたことで批判を浴びた大相撲舞鶴場所(巡業、京都府舞鶴市)。巡業の実行委員会が、真っ先に駆けつけて心臓マッサージを行った女性に、マスコミから要望があった実名公開について打診したところ、「そっとしておいてほしい」と固辞された。
実行委が明かした。口頭で感謝の意を既に伝えたという。
口頭で謝意を伝える
実行委は2018年4月5日、(女性の中では)真っ先に土俵に上がって救命活動にあたった女性に口頭で感謝の意を伝えた。勧進元(主催者)である四方八洲男・前綾部市長(78)が6日、J-CASTニュース編集部の取材に答えた。今回の巡業主催の実行委と、共催の日本相撲協会を代表して、女性に謝意を述べたという。
四方氏によると、この女性に「マスコミからの要望があるため、名前を公表してもよいか」と打診したところ、「当たり前のことをしただけ。そっとしておいて欲しい」と固辞された。
救命活動にあたった複数の女性たちの中には、看護師資格がある人や、救命技能講習受講者もいたが、今回の「最初に土俵に上がった女性」の資格の有無などについても、公表は望んでいなかったそうだ。
今後、非公開での感謝状贈呈を検討
また、5日のやりとりでは、感謝状の話は具体的には出なかった。女性が名前の公表を望んでいないことから、事態が落ち着いたあと、非公開で感謝状を贈ることを検討している。朝日新聞(ネット版)が6日早朝、「土俵で救命措置の女性、感謝状を固辞『当然のことした』」との見出し記事を配信したが、四方氏は「固辞されたのは名前の公表であり、感謝状を固辞されたという認識はない」とも説明した。
救命活動にあたった他の女性も一部は把握できているが、真っ先にかけつけた女性が名前の非公表を望んでいるため、他の女性の名前公表も難しいと考えている。
4日にあった舞鶴巡業で、長年の「女人禁制」方針をうけて、行司が救命活動中の女性らに「女性の方は土俵から降りてください」とアナウンスしたことに対し、実行委は5日、公式サイトで「実行委員会の見解」を公表した。
一命をとりとめた舞鶴市長の体調を気遣うコメントのあと、
「勇気をもって土俵に上がり、救命に当たられた女性の方には、実行委員会一同、深く感謝しております。ありがとうございました」
と女性たちに謝意を述べた。協会側の行事が行った、問題のアナウンスについては、
「『しきたり』と『人命』では、当然、『人命』が、優先である事は間違いありません」
「長いしきたりと習慣の中で染み付いたものが、とっさに出てしまったのではないかと思われますが、実行委員会としましては、場違いのものであると考えております」
と、批判的な認識を示した。