日本初という女性職人専門の寿司店「なでしこ寿司」(東京・秋葉原)の店長・千津井由貴さんが、特定の男性から数年にわたって執拗な嫌がらせを受けていることが分かった。J-CASTニュースの取材に、本人が明かした。
千津井さんによれば、嫌がらせ行為を続けているのは、客としてよく店を訪れていた男性だ。好意を寄せていた従業員が結婚を機に店を辞めた直後から、千津井さんへのつきまといや店の営業を妨害するような行為が始まったという。
店に生卵を投げつけられることも
なでしこ寿司は、職人と従業員の全員が女性の寿司専門店として2010年9月にオープン。カラフルな和装姿の女性職人が握る本格的な江戸前寿司が話題を呼び、東京新聞や米ワシントンポスト、英BBCなど国内外の大手メディアに数多く取り上げられてきた。
そんな人気店を引っ張る千津井さんが、執拗な嫌がらせに悩まされていた。2018年4月5日のJ-CASTニュースの取材に対し、
「自宅につきまとわれたり、店に生卵を投げつけられたり、ネット上で私や元従業員のフリをして、誹謗中傷の書き込みをされたり...。こうした嫌がらせが、もう3年以上続いています」
と打ち明けたのだ。
そのほかにも、店のドアの鍵穴に接着剤が入れられたり、千津井さんの私物の自転車が壊されたり、営業を妨害するような様々な被害に遭ってきた。また、女性従業員が「枕営業」をしていた、店で食中毒が起きた、など虚偽の情報をネット上で発信されたこともあったという。
千津井さんによれば、これらの嫌がらせは全て1人の男性によるもの。まず元従業員の女性に好意を寄せ、ストーカーのような行動を取り始めた。その後、元従業員が結婚を機に店を辞めた直後から、千津井さんや店への執拗な嫌がらせに及ぶようになったという。
この男性は、千津井さんの自宅にも複数回押し掛けた。自宅マンションの名前をSNSで明かされたり、「近くにいるよ」などとして建物の外観やポストの写真をアップされたりすることもあったという。
警察に相談→「対応済み」との連絡
千津井さんは、嫌がらせ男性について「なでしこ寿司に対する脅迫でかつて一度警察に逮捕され、執行猶予の判決を受けています」とも明かす。しかし、それでも嫌がらせは一向に止む気配がなかったという。
実際、ある口コミサイトには、この男性が18年3月に書いたとみられる投稿がある。「お前らが俺をこんな目にあわせたんだよな」などの恨み節が続く書き込みには、脅迫容疑で逮捕されたことへの不満を訴える一文もあった。
千津井さんによれば、この男性の一連の行動については再び警察に相談し、本人と接触した警察の担当者からは「すでに対応済みです」という趣旨の連絡を受けているという。
なお、なでしこ寿司のウェブサイトでは4月3日、店の関係者になりすまし、特定の人物を誹謗中傷する書き込みがネット上に出ているとして、
「このような書き込みについて全くの事実無根であり、当方とは一切関係がございません。 この件に関してはしかるべき機関に対処済ですので、ご安心くださいませ」
と説明。その上で、「多くの方にご心配をおかけしたことを、この場をお借りしてお詫び申し上げます」とも伝えていた。
なでしこ寿司が、嫌がらせに関するメッセージを公表するのは今回が初めて。千津井さんは、こうした文書を発表したことや、これまでの嫌がらせについて取材に明かすことを決めた理由について、
「知人やお客様から、ネット上の書き込みなどについてお問い合わせを頂くことが多かったからです。まだお店に来たことのないお客様から心配のお電話を貰うこともあり、より多くの人に事態を知って頂くため、これまでの出来事を公表することを決意しました。これは、店のオーナーとも相談して決めたことです」
としていた。