中国外務省の耿爽報道官が2018年4月3日の定例会見で、日本の北朝鮮外交をめぐって辛辣な発言を連発した。河野太郎外相は3月末に行った講演で、北朝鮮の核関連施設で動きが続いていると主張したが、こうした見方について、耿氏は「日本に対して多少の注目を集めることには成功した」と皮肉った上、「日本側は置き去りにされたと感じているかもしれない」「日本は全く心配無用」と語った。
中朝首脳会談はすでに実現し、南北、米朝も実現しつつある。そうした中で日本は「用なし」ともとれる発言だ。
「日本側はこの過程で、置き去りにされたと感じているかもしれない」
陸上自衛隊は3月27日、全国に部隊を一元的に指揮する「陸上総隊」と、離島防衛を担う「水陸機動団」を発足させた。会見では、これを念頭に記者が
「中国側による日本への攻撃や北朝鮮によるミサイル攻撃の可能性が高まっているという(日本側の)示唆に対するコメントはあるか」
「日本は中国を名指ししているわけでないが、日本は弾道ミサイルの発射と日本の領土に対する攻撃が増えると言っている。専門家は、これが北朝鮮に関するものだと解釈している」
などと質問した。耿氏はこれに応える形で、
「周知のとおり、関係国の前向きな交流によって、朝鮮半島情勢について前向きな兆しが見えつつある。結果のいくつかは、米国を含む関係国の努力の結果だ。日本側はこの過程で、置き去りにされたと感じているかもしれない」
と答弁。米国は緊張緩和に貢献したとの見方を示す一方で、日本はそうではなかったと評価した。
北朝鮮分析サイトは河野発言に反論
河野氏は3月31日の講演で、北朝鮮の実験場での動きが活発化していることを指摘。これに対して、米ジョンズ・ホプキンス大の北朝鮮研究グループ「38ノース」は4月2日(現地時間)、最近の衛星写真を根拠に
「過去数か月と比べると、実験場の活動量は大きく減少している」
と反論していた。耿氏は
「最近、日本側は、北朝鮮が新たな核実験や弾道ミサイルの発射を準備している可能性があると主張している。こうした警鐘を鳴らすことで、日本に対して多少の注目を集めることには成功したと言えるだろう」
とも発言。河野氏の発言を念頭に置いているとみられる。しかし、同時に
「朝鮮半島の非核化を進め、北朝鮮関連の国連安保理決議を包括的かつ完全に履行させる国際社会の意思と決意は明らかで断固たるものなので、日本は全く心配無用だ」
加えて、日本を名指しすることこそなかったものの、「誰も足を引っ張らないことを願いたい」とも。河野氏の発言を皮肉ったともとれる。
「一方、我々はすべての関係国がこの機会を生かし、対話と協議を通じて朝鮮半島情勢を改善し、半島情勢を正しい解決の道のりに戻すために一致協力できることを望んでいる。我々が何かを実現しようと努力している時に、誰も足を引っ張らないことを願いたいものだ」