韓国と北朝鮮の融和ムードに注目が集まる中、北朝鮮が露骨に日米韓の連携を非難している。日米韓が2018年3月にワシントン郊外の国防総省で防衛実務者協議を行ったことが、北朝鮮からすれば韓国が「外部勢力との共助」を行った、というのだ。この「共助」は「対決と戦争の道」だとまで主張している。
北朝鮮が「ほほえみ外交」で「日米韓に楔(くさび)を打ち込もうとしている」と警戒する声が相次ぐ中、それが改めて鮮明になったと言えそうだ。
協議は「制裁・圧迫攻勢を持続しようとする不純な謀議の一環」
国営朝鮮中央通信が2018年4月2日に「今こそ外部勢力との共助を排撃すべき時だ」と題して配信した記事では、3月21日から22日(米東部時間)にかけて開かれた「第10回『安保会議』」に韓国が参加したことを問題視している。「安保会議」は、開催日や場所からすると、「日米韓3か国の防衛当局による局長級協議」のことを指すとみられる。
小野寺五典防衛相が3月23日の会見で明らかにしたところによると、協議では、
「北朝鮮に対して、核及び弾道ミサイルの開発を放棄し、すべての国連安保理決議を含む国際的な義務等を直ちに、かつ、完全に順守するよう強く求めるとともに、『瀬取り』など、北朝鮮による違法な海洋活動に対する多国間の取組みを、日米韓3か国で主導し続けることで一致」
したという。
北朝鮮は、この協議は
「朝鮮半島の現情勢緩和の局面に逆行してわれわれに対する軍事的対決と制裁・圧迫攻勢を持続してみようとする不純な謀議の一環」
で、日米という「外部勢力」は
「北南関係が改善されて朝鮮半島で軍事的緊張状態が解消され、民族の和解と団結が成し遂げられて統一された強国がうち建てられることを願わない」
と主張した。
「外部勢力との共助は、対決と戦争の道である」
その上で、
「南朝鮮当局が真に民族問題の解決に関心があるなら、外部勢力に対する幻想を払拭すべきである。外部勢力との共助は、対決と戦争の道である」
などとして、韓国は日米と手を切るべきだとする主張を展開した。
小野寺氏は記者会見で、協議の意義について
「わが国としては、引き続き、日米韓3か国が緊密に連携し、あらゆる手段を通じ、北朝鮮に対する圧力を最大限まで高め、政策を変えさせていくことが重要であると考えている。そうした意味において、今回の協議では、北朝鮮問題における日米韓3か国の強固な連携をしっかりと示すことができたものと考えている」
と説明している。今回の北朝鮮の動きは、こういった「北朝鮮問題における日米韓3か国の強固な連携」をけん制する狙いがあるとみられる。