「草の根」国際交流に黄信号? 民泊「上乗せ規制」の思わぬ余波

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   一般住宅などの空き室に旅行者らを有料で泊める「民泊」の2018年6月全国解禁を前に、住宅宿泊事業法(民泊法)に基づく関連事業者の登録・届け出が3月に始まった。政府は、20年の東京五輪・パラリンピックをにらみ、宿泊施設不足解消の決め手と位置付けており、シェアリングエコノミーの代表格として期待が高い一方、住民とのトラブルなど住環境悪化を懸念して自治体による「上乗せ規制」も多い。いかに上手に広げていくか、模索が続きそうだ。

   物・サービス・場所などを、多くの人と共有・交換して、民間の埋もれた資源を有効に活用しようというシェアリングエコノミーは、米国を起点に世界で急拡大している。プロのドライバーではない一般人が自家用車で配車サービスを行う「ライドシェア」と並び、民泊はその代表格とされる。

  • 上乗せ規制の余波(画像はイメージ)
    上乗せ規制の余波(画像はイメージ)
  • 上乗せ規制の余波(画像はイメージ)

ビジネスチャンスに期待感

   民泊は基本的に旅館業法で禁止されており、法の規定を満たして許可をもらうほか、国家戦略特区の一部自治体が試験的にはじめていた。しかし、海外からの旅行者の急増による宿泊施設不足、安い宿泊先の需要拡大を受けて、実態は法律よりはるかに先を進む。仲介業者のサイトに登録されたものだけで全国に5万件の民泊があるが、そのほとんどが違法な「ヤミ民泊」とされる。ここまでくると、いまさら取り締まるのは難しいことから、ルールを決めて合法化し、悪徳業者は排除しようと、2017年成立したのが民泊法なのだ。

   法制定により、2018年6月15日から年間180泊までを上限に認められることになった。事業者は届出が必要になり、宿泊者名簿の作成やチェックイン時の本人確認などが義務づけられる。問題がありと判断すれば、都道府県などの監督自治体が営業停止を命令でき、無届け営業への罰金の上限は3万円から一気に100万円に引き上げられる。

   ビジネスチャンスが広がる期待は大きい。例えば京王電鉄は国家戦略特区制度で民泊営業が認められた大田区内で2017年2月、地上6階建ての賃貸マンション1棟全体で民泊を開業。楽天は、不動産情報サイト「ライフルホームズ」を運営する「LIFULL」と共同で民泊仲介の子会社を設立、仲介だけでなく民泊参入を検討する法人・個人向けに内装や集客・清掃などの運営代行パッケージも提供する。民泊仲介サイト世界最大手の米Airbnb(エアビーアンドビー)は不動産情報サイト「SUUMO」を運営するリクルートグループと提携し、空いている賃貸物件を民泊に活用する。政府の規制改革会議では民泊の経済効果10兆円台との試算もが示されている。

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