「子どもたちは地球の未来を担う存在です。冷たい目でみないでほしいです」――。名古屋市在住の小学5年児童(11)のそんな新聞投書が、ツイッター上で大きな反響を呼んでいる。
訴えの先は、公共交通機関の中で泣いている赤ちゃんに舌打ちなどをする大人、中でも高齢者である。
舌打ちしたり、にらんできたり...
投書は、2018年3月29日付の読売新聞(東京本社版)朝刊の投書欄「気流」に掲載された。投書では、「『最近の高齢者は...』の投書(3月20日)を読み、一理あると思いました」と書き出している。
「最近の高齢者は...」と題する投書は、3月20日付の同紙朝刊の同欄に載っていた。投稿者は、埼玉県蓮田市に住んでいる高校生(16)だ。電車内で泣き出した赤ちゃんに「早く泣きやませろ」と声を上げるなど、「文句を言う」高齢者を時々見かけるとし、
「年を取ると自己中心的になってしまうのでしょうか」
「『最近の若者は』と言われるけれど、自分たちからしたら『最近の高齢者は』って感じです」
と疑問を呈した。
先の児童はこの投書の主旨に共感したようで、自身の投書で
「バスや電車内で泣いている赤ちゃんに舌打ちしたり、にらんできたりする人をよく見かけます。全員が高齢者かどうかわかりませんが、そういう人がいるのはとても残念です」
と書いた。
「赤ちゃんを抱えた母親があやまっているにもかかわらず、『あやまるなら最初から乗ってくるな!』という声が聞こえてきたこともありました」との実体験も明かし、
「子どもたちは地球の未来を担う存在です。冷たい目でみないでほしいです」
と主張した。
高齢者の暴行摘発件数2.7倍に
この新聞投書は、あるツイッターのユーザーが紹介したことをきっかけに、5400件超「リツイート」されるなど、注目を集めることになった。ツイッターでは
「おめぇが赤ちゃんの時は1度も泣かなくて1度も人に迷惑をかけなかったか?と言ってやりたい」
「ストレスがあるのはわかるけど、弱い者にあたるのはどうかと思う。思いやりがない」
と高齢者に批判的な声が相次いでいるほか、「子供連れなんだから何やってもいいって見てとれる親にはムカつくし、連れてくるなって思う」との声も。
その他、「まわりにいる人が赤ちゃんをあやすと状況が良くなることもあるのになーって思うことがあります」「色々ありすぎて皆心のゆとりが無くなってるんだな...」とさまざまな意見が寄せられている。
なお、高齢者が粗暴になったり、攻撃的になったりという傾向は統計にも表れている。
2017年11月17日放送のニュース番組「おはよう日本」(NHK)によるアンケート調査では、65歳以上の487人中約半数が「最近、日常生活の中で感情が抑えきれずに『キレて』しまうことがありますか」との質問に「よくある」「たまにある」と回答。「年齢とともに感情のコントロールが難しくなっている」と回答した人も、約3割に達したという。
また、2017年版犯罪白書によると、刑法犯全体の認知件数は減少傾向にあるにもかかわらず、高齢者の刑法犯では、傷害の摘発人数が10年前の約1.7倍(1809人)、暴行の摘発人数が同約2.7倍(4014人)に増加している。