「情報サイトとしての役目を終えたと認識し、ここにサイトの終了を決めた次第です」――J-CASTニュース編集部の取材にこう答えたのは、美少女ゲーム情報サイト「電撃姫.com」の担当者だ。
メディアワークス(現・KADOKAWA)の雑誌「電撃姫」の流れを汲むサイトとして運営が続けられていた「電撃姫.com」が、2018年4月2日閉鎖される。利用者、そして往年の愛読者たちからは、その終了を惜しむ声が相次いでいる。
雑誌として2001~14年にかけ刊行
「電撃姫」は1997年、ゲーム誌「電撃王」の増刊として誕生、2001年に正式に独立雑誌として創刊された。「電撃」の名前を冠したメディアワークスの出版物群の中でも、主に美少女ゲームの話題を取り扱い、複数刊行されていた競合他誌としのぎを削って、ともに一時代を築いた。
しかし2014年、インターネットメディアの隆盛により「歴史的使命を終えた」として休刊、以後は「電撃姫.com」としてネット上で情報発信を行ってきた。
いったいなぜ「閉鎖」にいたったのか。運営会社「キャラアニ」の担当者は以下のように説明する。
「運営開始当初は、ユーザーはPC・家庭用ゲーム機共にソフトを購入して遊ぶスタイルが主流でしたが、この3年でユーザーの購入スタイルが大きく変化し、現在ではダウンロード購入や無料ゲームに課金をするものが主流になっています。そのため『電撃姫.com』などの情報サイトでゲームの新情報を知るという流れから、総合ダウンロード販売サイトやアプリのダウンロードサイトから直接情報を入手するという形に変わってきました」
ダウンロード販売の普及。課金モデル型ゲームの隆盛。担当者も言うように、ゲームをめぐる環境は大きく変化しつつある。雑誌からネットへと主戦場を移した「電撃姫」だが、さらなる時代の動きが、「閉鎖」を決断させた。
「"さまざまなゲームメーカーの最新ゲーム情報を読者にお届けする"という情報サイトとしての役目を終えたと認識し、ここにサイトの終了を決めた次第です」(担当者)
業界苦境...市場規模は10年で「半分」に
購入環境の変化に加え、美少女ゲーム業界自体も苦戦が続く。かつてはゲームを原作としたアニメも多数制作され、海外にも多くのファンを持つなど、オタクシーンで大きな存在感を持っていたものの、矢野経済研究所のデータによれば、2007年度に341億円だった市場規模は、17年度は160億円(12月時点予測)と、10年で半分以下に縮小した。
「電撃姫.com」の閉鎖は3月26日にサイト上で発表、30日に最後の記事が掲載された。ツイッターでは、
「電撃姫もなくなるのか...時代を感じる」
「これで電撃姫完全終了か どんどん縮小していくなこの業界」
「電撃姫も完全終了か。これで電撃王系列は全部消えることになったな」
など、雑誌時代のファンも含め、惜別の声や時代の変化を痛感する投稿が続々と上がる。
担当者に、最後のメッセージを尋ねた。
「これまで『電撃姫.com』をご愛顧、ご愛読いただいた皆様、本当にありがとうございました。また、記事などでご協力いただきました各メーカーの皆様には、大変お世話になりました。心からの感謝を申し上げます。これからのゲーム業界・美少女コンテンツ業界の益々のご発展をお祈り申し上げます」